National Institute of Advanced Industrial Science and Technology (AIST) This page is a page of the former research institute. We stopped updating on March 31.2001.
E-mail to webmaster (Japanese) E-mail to webmaster (English)
資源環境技術総合研究所 ホームページへ


環境への負荷を最小にする技術

私たちの環境を診断する技術を考える

環境診断技術

環境診断技術

 環境は,一度汚してしまうと回復するのに多大なエネルギーを要します。 健全な環境を維持していくには,環境を調べ,悪くなった原因を突き止め,適切な回復手段を決めることが重要です。 環境を調べる,即ち有害化学物質と言われるものの量を測り,その情報を得ることから現在の環境の状態が診断されます。 このため,毒性や挙動が異なる化学物質を化学形態毎に高感度分析可能なGC-ICP-MS法,簡易に現場測定が可能な水晶振動子センサー等を開発しています。 さらに,非汚染で採水が可能な現場ろ過/吸着型採水と多次元ガスクロマトグラフによる超微量有害化学物質の挙動解明を行っています。

有害化学物質の高機能センサの開発

 化学物質センサーとして,水晶振動子の利用を進めています。このセンサーは圧電素子である水晶振動子の発振周波数変化が,水晶振動子表面上に捕捉された有害物質の重量変化に比例することを利用しています。 有害化学物質と選択的に結合する機能性分子の開発,水晶振動子への固定化法の開発を行っています。分子同士の親和性を利用して有害化学物質を選択的に,高感度で検出する方法は,連続,簡易,迅速な現場測定を可能にします。

水晶振動子センサー
水晶振動子センサー
有害化学物質の高感度形態別分析技術

 環境中に微量に存在する化学物質は,異性体や化学種によって各々環境挙動や毒性が異なります。 微量の化学物質をその化学的存在形態毎に分析する方法として,ガスクロマトグラフとプラズマ質量分析法を結合したGC-ICP-MS法を開発しています。 この方法により,海水中の有機スズや有機水銀を絶対量でフェムトグラム(10-15g)まで検出でき,分析時間も従来の十分の一以下で分析することが可能です。

GC-ICP-MS
化学物質の環境挙動の解明

 一旦環境へ放出された化学物質は,様々な輸送過程を経て拡散されていきます。 最終的な蓄積場所である海洋での汚染やその挙動を明らかにする必要があります。特にデイオキシンやPCB,内分泌撹乱物質(いわゆる環境ホルモン)などの人工化学物質は環境中に広く存在し,微量でも強い毒性を示すため,その環境挙動の解明が急がれています。 これらの微量の化学物質を分析するために,サンプリング法と分析法を組み合わせた分析システムの開発を行っています。 海水中に沈めた現場ろ過/吸着型採水器により非汚染で大容量の採水が可能です。また,採水された試料を多次元ガスクロマトグラフで分析することで,目的成分を選択的に高精度で分析することが可能です。

現場ろ過・吸着装置



有害化学物質を含む粒子状物質の発生源測定

 最近,ゴミ焼却施設などから排出されるデイオキシンなどが,有害な環境汚染物質として注目されています。 これらの物質は,塩素を含むプラスチックなどの燃焼の際の分解・合成過程で発生し,排ガス中のダストとともに煙突から環境中へ排出されます。この場合,有害化学物質は排ガス温度の低下に伴って粒子表面に凝縮・吸着され,大気環境中では浮遊粒子状物質(とくに,粒子径が数μm以下の微小粒子:PM 2.5)として存在します。 しかしながら,これらの有害化学物質を含んだ微小粒子の生成,挙動や排出実態はほとんど明らかになっていません。

 本研究では,微小粒子が持っている化学的な毒性の解明やこれらの発生源対策にとって重要となる情報を収集するため,粒子径選別型の発生源排出粒子の測定手法の開発を行っています。

発生源ダストの新しい測定法
発生源ダストの新しい測定法



揮発性有機化合物の環境測定と発生源キャラクタリゼーション

 揮発性有機化合物(VOC)は各種の産業で使用される有様溶剤や自動車排ガスを発生源とする多種類の化学物質です。 VOCの発生源の多くは人口密度の高い市街地に広く分布しており,それぞれの発生源から多種類の化学物質を同時排出し,環境大気中に存在して発ガンなど健康影響を及ぼすものや光化学反応により対流圏オゾン増加の原因となる物質が含まれています。

 各種のVOCは発生源から環境大気中に拡散し,いろいろな環境条件のもとで特徴的な変化を示します。 VOCの環境測定法の研究では,いろいろな場所で採取した大気試料を高分解能のキャビラリーカラム−ガスクロマトグラフ分析により,多くのVOC成分の同時測定を行います。 さらに,測定されたVOC成分の相対存在比に着目したキャラクタリゼーションを行い,発生源の影響を評価したり,環境中での化学的挙動や環境寿命を評価する手法の開発を行っています。

自然起源・人為起源のVOCsは環境大気中で様々に変化する
自然起源・人為起源のVOCsは環境大気中で様々に変化する
自然起源・人為起源のVOCsは環境大気中で様々に変化する



森林生態系・海洋における二酸化炭素の吸収量・放出量の観測

 地球温暖化の原因である二酸化炭素の対策を考えるためには,自然界で二酸化炭素がどのような吸収・放出を行つているかを調べる必要があります。 陸上では,とりわけ,森林の二酸化炭素吸収における役割を解明するために,岐阜県高山市の冷温帯落葉広葉樹林に観測タワーを立て,吸収量を継続的に調べています。 その結果,上記の森林への二酸化炭素の平均的年間取り込み量は1.2tC/ha/年程度ですが,夏季の気温,日射量変動に伴い年によって大きく変動していることが分かりました。さらに,この結果を世界の森林での測定値とも比較しています。

森林での観測タワー
森林での観測タワー

 人為起源の二酸化炭素のうち1/3が海洋に溶け込んでいると言われていますが,海水の流れや生物活動などの複雑な過程に依存するため,実際の溶け込み量やその将来推移は不明です。 また,発電所からの二酸化炭素を海洋へ貯留させようという構想に対しては,貯留した二酸化炭素の挙動や海洋生物への影響などを評価する必要があります。 そこで,第2白嶺丸を利用した太平洋上での観測,モデルの構築などを行なっています。

第2白嶺丸での採水風景
第2白嶺丸での採水風景



 人工衛星で測定された温室効果気体の全球分布

 地球温暖化メカニズムの解明や対策技術の効果の検証を行うためには,CO2やメタンなどの温室効果気体の全球的な分布状況を把握する必要があります。そのため,通産省では1996年に日本から打ち上げられたADEOS衛星に温室効果気体センサーIMGを搭載して,これらの気体濃度の全球分布を測定する計画を進めてきました。

 当所では,このIMGセンサー等により測定された大気放射スペクトルデータから,各種気体濃度の空間分布を求めるためのデータ解析手法の開発を行っています。 この手法により得られた測定結果と,シミュレーションモデルによる予測結果とを比較することで,温室効果気体の発生源分布や大気中における挙動の解明を行うことを目指しています。

IMGデータの解析により得られた一酸化炭素の鉛直積算量の全球分布の例。
IMGデータの解析により得られた一酸化炭素の鉛直積算量の全球分布の例。観測日は1997年4月2日



大気化学反応チヤンバー

 反応チヤンバーを用いて,化学物質の大気寿命と分解生成物の推定,分解生成物の赤外吸収強度測定を行っています。 反応チヤンバーはSUS304製(内容積1m3,内壁面テフロンコーティング)で,圧力(10-6Torr 〜 大気庄)・温度(-40℃〜110℃)制御部,光照射部(波長領域170nm〜近赤外),不均一過程を調べるための副反応室および長光路セル(光路長可変,最大60m)−高分解能FTIRによる測定部から構成されます。

大気化学反応チヤンバー


エコテクノロジーと当所の役割
新しいエネルギーを考える
新しい資源・素材を考える
新しい対策技術や処理技術を考える
私たちの環境を診断する技術を考える
私たちの周囲(環境)への影響を考える

資源環境技術総合研究所ホームページへ

National Institute for Resources and Environment