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プレス発表

平成11年1月18日



石炭等を用いた革新的な水素製造法を提案

資源環境技術総合研究所
(財) 石炭利用センター



 工業技術院資源環境技術総合研究所と財団法人石炭利用総合センター(CCUJ)は、共同研究の過程で、石炭から高効率で水素を製造する革新的なプロセスを開発した(Hydrogen Production by Reaction Integrated Novel Gasification process:革新的水素製造法)。石炭と水を密閉容器内に閉じこめて反応させ、生成した水素の分離方法を工夫することで80%以上が水素、残りの20%もメタンというガス組成が得られた。

また、石炭1gから生成するガスの量は2〜3リットルで、石炭中の全炭素が水と反応して出来る理論量とほほ等しくなっている。このように従来発表されている石炭の分解による水素製造プロセスの10倍程度という大量の水素を製造することが可能な画期的なプロセスと言える。また、水素を生成する際に副生する二酸化炭素は生成ガスとは完全に分離され高濃縮された形で回収されるため、地球温暖化ガス排出抑制の観点からも画期的な技術と言える。

 また、このプロセスは石炭以外の有機物にも適用可能である。例えば、最近問題となっているプラスチックを始めとするあらゆる可燃性廃棄物の処理に適用できる。現在は、焼却によって廃棄物中の窒素、塩素、硫黄が酸化物や、ダイオキシンとなり問題となっているが、本プロセスにおける生成物の分離方法は、同時に有害元素を無害な形で取り除くため、有害物質の生成はいっさい認められなかった。

 今後は、数年先に実用プロセスを開発することを目標に資源環境技術総合研究所と(財)石炭利用総合センターで共同研究を行い、基礎試験等を実施する予定。

 なお、本研究は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のフェローシップとして(財)石炭利用総合センターに出向し、資源環境技術総合研究所で共同研究を行っていた研究者と資源環境技術総合研究所の研究員により開発されたものである。

1.背景・経緯
 石炭は石油に比べ埋蔵量は極めて大きいが、単位エネルギー当たりの二酸化炭素排出量が大きいため地球温暖化ガス排出抑制の観点からは、より効果的な利用法が求められている。そのため、高効率な複合サイクル発電技術(石炭ガス化複合発電、加圧流動層燃焼複合発電)や石炭ガス化による燃料電池用の原料ガス製造等の技術開発が行われている。

 今回開発したプロセスは上記技術開発と同様に石炭利用の高効率化をめざすもので、石炭を利用価値の高い水素に高効率で転換する技術である。水素は当面燃料電池等での利用が考えられ、一旦石炭を水素に転換しても最終的な発電効率は前述の現在開発中の技術と同等もしくはそれを凌ぐことが予想される。また、同時に石炭利用で問題になる、排出二酸化炭素を容易に回収できるので、石炭利用の新しい方法と言える。
2.今回開発したプロセスの概要
 石炭から水素を製造する方法は古くから知られており、ガス化剤(空気、酸素、水蒸気)を高温高圧(1,300℃、30〜40気圧)の条件で石炭と反応させる方法が一般的である。この方法では水素濃度は生成ガスの30〜40%程度で、この組成が化学平衡上の上限となる。

 今回開発したプロセス(Hydrogen Production by Reaction Integrated Novel Gasification process:革新的水素製造法[HyP−RING])は気体状態のガス化剤を使用していた従来のガス化プロセスとは根本的に異なり、水のみを使用し、反応は密閉容器内で高温高圧状態で行い水素を生成することが特徴となっている。

図1 今回提案した水素製造法(HyP-RING)の概念図

 図1に本プロセスの概念を示す。基本的にプロセスに投入するのは原料の石炭と水と熱で、プロセスからは水素を主成分とするガスが得られる。また、副生する二酸化炭素を水素とは完全に分離された状態で回収できるプロセスである。

 反応条件等詳細については、下記の学会において4件の講演を予定している。

 平成11年3月25〜27日開催化学工学会第64年会(於、名古屋工業大学)  ここでは、実験結果を紹介する。
図2 石炭類からの水素生成量
 石炭類を用いた場合の生成ガス量とその組成を図2に示す。石炭中1gより2〜3リットルのガスが生成し、その組成は水素が80%、メタンが20%となった。また、生成したガス中には石炭中の硫黄に由来する硫黄化合物は一切認められず極めてクリーンな生成ガスが得られた。また、副生した二酸化炭素は大部分純粋な形で回収可能であった。

 また、本プロセスは、石炭以外の有機物にも適用可能であることが確認されており、可燃性廃棄物等の処理に適応した場合、塩素化合物、窒素化合物、硫黄化合物等も分離回収が容易であり、早期の実用化が期待される。
3.今後の研究開発の予定
 数年後の実用化を目標に、資源環境技術総合研究所と(財)石炭利用総合センターは、共同で基礎研究等を実施する。



<問い合わせ先>


お問い合わせ等は 業務課:0298−58−8113、8114 まで。


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