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資源環境技術総合研究所 米澤 義堯
比較することによって行われます。こうして推測されたリスクの大きさが、
について検討し、判断することがリスク管理になります。
この場合、リスクの大きさの絶対値をもって評価することが実際に行われているわけではありません。現実に社会的に受け入れられているリスクの大きさは、そのリスクを犯すことによって得られる便益との比較で評価されています。例えば、医薬品の中には副作用があるという安全な化学物質と言えないものもありますが、それでも私たちは病気などの治療のために意図的にこれを使用している場合があります(毒と薬は使いよう)。また、喫煙などの自発的行為に対しては大きなリスクがあっても社会は比較的寛容です。こうした例に見られるように、リスク評価の尺度はリスクの内容や規模、社会的状況などによって大きく変動するものです。
このため、問題となっているダイオキシンや内分泌かく乱化学物質のように、リスクの質や大きさがの全容が明らかになっていない場合、そのリスクに対しどのような対策をたて、どのように管理するかは、大きな論争を引き起こすことになります。こうしたことから、リスク評価とその結果を受けての行動の決定には、どのようなデータとやり方でリスクを評価したかを明らかにして、それらの影響を受ける人々とのコミュニケーションを図ることが最も重要な課題です。
そこで、同法による新しい化学物質の生産登録に際して、その審査・管理は、実質的にこうした考え沿った手順で(図1)で行われています。

図1.化審法による新規化学物質の安全性評価手順の例

図2.化学物質の環境放出と ばく露経路
この2つの方法はいずれか一方が優れているというものではなく、お互いに補完する関係になっています。しかし、新しく開発され生産登録される化学物質(新規化学物質)に対しては、当然濃度計測によるばく露評価は行うことができません。また、すでに生産されている化学物質でも、生産量や使われ方が変ったことによる影響の評価、また環境放出削減対策の評価など予測評価においても事情は同じです。また、全ての場所、時間を計測によってカバーするには、多くの費用、時間、人手が必要となり、現実的ではありません。こうした場合には、後者の、数理モデルによるシミュレーションが有効な手段となります。
すでに広範に使用されている化学物質に対しては、放出の場所や時間のパターンや放出の形態は、化学物質の用途や使用形態によってまちまちとなっています。同じ使用目的の化学物質であっても事業所毎に大きく変わっていることも珍しいことではありません。こうした場合では特定の場所にあわせて、使用と環境放出の形態やばく露経路などについて評価目的に則したシナリオを作成し、それを基に詳細な環境中濃度予測を行い、ばく露の推定を行うことが必要となってきます。このようなシナリオを組み込んだモデルでは、環境排出源やばく露経路についての詳しい情報を推定結果に反映させることができ、それぞれに対する排出量削減対策などの効果を具体的に検討することも可能となります。

資源環境技術総合研究所 首席研究官
米澤 義堯