(3)素材形成のために特定の反応を選択的に生じさせ形態を制御する技術の開発
よく使われる金属の中で,亜鉛のリサイクル率は非常に低い(表2)2)。亜鉛は鉱石から製錬する際には非常に多くのエネルギーを必要とするため,今後は亜鉛のリサイクル率の向上が非常に重要となる。とりわけ,亜鉛メッキ鋼板に使われる亜鉛の量は多く,その一定部分は溶出してしまうが残りの部分を有効にリサイクルすることは非常に重要である。現行のリサイクルプロセスでは,最終産物として必要なのは金属亜鉛であるにもかかわらず,中間的に酸化亜鉛として回収するプロセスが2度組み込まれることにより,還元のために非常に多大のエネルギー・コストがかかるという問題がある。このプロセスを革新する立場から,「即効的・革新的エネルギー環境技術開発」の一環として,(財)金属系材料研究開発センターがNEDOから委託受け「省エネルギー型金属ダスト回生技術の開発」の研究を行っているが(平成10〜14年度),われわれは,電気炉からでる金属を含むガスから亜鉛を直接金属状で回収する研究について,上記センターと共同研究を行っている。大量に排出される使用済み亜鉛メッキ鋼板は電気炉によってまず処理されるが,その排出蒸気から,亜鉛を直接金属状で回収することができれば,亜鉛のリサイクル量の増大,省エネルギー型亜鉛リサイクルシステムの確立,さらには,product - to - productの立場からも大いに前進することにつながり,波及効果も大である。われわれは,蒸気状で出てくる亜鉛を,酸化亜鉛ではなく金属亜鉛として選択的に析出させる条件を,凝縮媒体及びプロセスの面から検討を行っている(基礎試験のための装置の図:図4)。
4.今後の展開
見方を転換すれば,使用済み金属製品は有用な金属資源として捉えることができる(二次資源,人工資源,マンメードリソーシズ等と呼ばれることがある)。天然金属資源の少ないわが国にも,このような資源は豊富である。二次資源からの金属生産を‘うまく’おこなうことができれば金属循環生産・利用システムが可能となる。では,‘うまく’やるとはどういうことか。まず,二次資源からの金属生産は省エネルギー型であることが必須である。また,システムとしてカスケード利用も必要であるが,product
- to - productを可能とする有効な技術を開発しておくことが重要である。そして,二次資源になり難いものや有害となる危険性のあるものは産出・製造しないことが必要である。金属生産・加工・利用は,産業や社会の中で複雑にリンクしあっている。したがって,これらの新しいシステムの構築は極めて総合的な取り組みとなり,そのためには上述したような,ソフトメタラジーを目指すという包括的な指標が必要であると思われる。われわれは,これまでの製錬技術に関する研究で培ってきたポテンシャルを活かしつつ,産業界や大学と密接に情報交換や共同研究を行いながら,ソフトメタラジー構築にとって不可欠な要素技術の革新に資する研究により一層邁進していくことにしている。