平成10年度
環境庁関連研究
【環境研究総合推進費】
- 土地利用変化に伴うGHG収支の大気モデルへの取り組みに関する研究
- [担当部署] 環境影響予測部
[研究期間] 平成8年度〜平成10年度
- 資源環境技術総合研究所は森林の農地化・2次林化に伴う大気微量成分の収支測定を分担し,それらのデータセットの整備とモデル化を担当する。温室効果気体の収支の測定と同時にこれらに係る気象条件・土壌状態を測定し解析する。これらの測定結果をもとに,各気体の発生・吸収に関する植生,土地利用状況を考慮したデータベースの作成し,土地利用変化による温室効果気体の収支を評価する境界層輸送モデルを作成する。地上における点観測を人工衛星からの面的な測定に対応させて全球的な収支モデルの計算に必要なデータベース程に与える影響の評価を行う。 モデルの整備と観測項目の設定
- 森林の炭素固定能力とバイオマス・エネルギーの利用可能性に関する研究
- [担当部署] 温暖化物質循環制御部,エネルギー資源部
[研究期間] 平成8年度〜平成10年度
- 本研究では,森林バイオマスの利用による地球温暖化の軽減を計量的に評価する研究の一環として,バイオマスエネルギーの適用可能性評価を行う。そのために,エネルギー資源となるプランテーションバイオマスの植林可能面積の検討,バイオマスの生産と供給のエネルギー収支,エネルギーへの各種変換利用技術の比較検討を行うと共に,バイオマスエネルギーの導入が環境に及ぼす影響を検討する。
- 平成10年度は,前年度に引き続き植林可能面積の試算法の検討とバイオマスのエネルギーへの変換技術開発の現状調査を行い,変換効率に関するデータを収集するとともに,これまでに得られたバイオマス供給量−エネルギー変換等の結果からバイオマス利用によるCO2 削減効果を見積もることを試みる。
- PSCsキャラクタリゼーション及びハロゲンリザーバー分子との相互作用の解明
- [担当部署] 大気圏環境保全部
[研究期間] 平成8年度〜平成10年度
- (全体計画)
- 極成層圏を模擬した環境でのPSCs候補物質の水蒸気圧,温度,圧力,微量成分気体濃度の変化等の環境条件に対する応答について調査し,PSCsとして最も可能性の高い物質及び相を明らかにする。人工衛星等のリモートセンシングから得られた太陽掩蔽赤外スペクトルを再現するための模擬PSCsの組成及び性状について検討する。
- これらの物質のハロゲンリザーバー分子との相互作用について検討し最も可能性の高いPSCsの不均一反応特性を光学的手段及び質量分析によって明らかにする。
- (本年度の計画)
- ADEOS/ILASで得られた極成層圏雲エアロゾルと同じスペクトルを持った模擬PSCsの作成を行い,その組成及び性状を確定する。
- 成層圏で最も存在可能性が高いと考えられる模擬PSCsとハロゲンリザーバー分子との相互作用を実験的に明らかにする。 模擬PSCsの測定結果と人工衛星等による極成層圏雲エアロゾルの観測結果を結びつけることで,PSCsの考えられる特性について取りまとめる。
- 臭素系化合物等分解技術の開発と評価に関する研究
- [担当部署] 大気圏環境保全部
[研究期間] 平成8年度〜平成10年度
- (全体計画)
- 触媒分解,プラズマ分解,光分解の各方法に関し,分解率向上及び 有害副生成物の生成抑制を図るための基礎的,技術的検討を行い,臭素系化合物分解法としての適用性を評価する。
- (本年度の研究計画)
- 上記方法のうち最も実用化の可能性が高いプラズマ分解法に関し, セミベンチスケールのプラズマ反応器を用いて臭化メチルの分解実験 を行い,実用化に向けた基礎データを取得する。
- 二酸化炭素フラックスと同位体比測定による冷温帯林生態系におけるモデル化と予測
- [担当部署] 環境影響予測部
[研究期間] 平成8年度〜平成10年度
- (全体計画)
- 岐阜県高山市の冷温帯林に設営された観測タワーおよび調査区域において,岐阜大学農学部と共同で調査研究を行う。同観測フィールドにおいてCO2 濃度・フラックス,気象の通年観測を継続して行い,長期データを蓄積する。並行して,土壌,地上および上空の空気を系統的に採取し,CO2 濃度およびCO2 の炭素・酸素同位体比の変化の関係を明らかにする。これら観測結果と数値モデルの計算結果を比較し,モデルのパラメータの最適化および一般化を図る。また,岐阜大学により実施されている森林生態学的な調査手法による結果と比較し,両手法の相互検証を行う。
- (本年度の研究計画)
- 観測タワーによるCO2 のフラックスの通年観測を継続とデータの取りまとめを行う。
- 大気及び土壌空気のCO2 濃度及び同位体比測定を定期的に行う。
- CO2 濃度・フラックス・同位体比の季節変化と葉面積指数,土壌呼吸量,落枝・葉量等の季節変化のモ デル化を図る。
- CO2 濃度,フラックスの年々変化と樹木生長量,落枝・葉量等森林生態学的調査結果の年々変化の比較 とモデル検証を行う。
- リージョナルスケールの炭素循環モデルへの組み込みを行う。
- 対流圏移流拡散モデルによる炭素循環の変動予測モデルの研究
- [担当部署] 環境影響予測部
[研究期間] 平成8年度〜平成10年度
- (全体計画)
- 資源環境技術総合研究所の開発した全球大気微量成分の輸送拡散モデルを用いて大気圏を中心としたCO2循環を調べる。
- 大気圏でのCO2 の収支には
- 化石燃料の燃焼と森林伐採による人為的な放出
- 海洋との相互作用
- 植物圏との相互作用
- が重要である。それらの発生・吸収量(フラックス)を本課題の研究成果をまとめたデータセットに取り入れて評価する。
- 本研究ではヨーロッパ中期予報センターの客観解析データを使用して移流拡散モデルを運用する。
- (本年度の計画)
- 定常状態を仮定した陸域生態系と大気との間のCO2フラックスの月別全球分布の推定。
- 対流圏エアロゾルの組成と光学特性に関する研究
- [担当部署] 大気圏環境保全部,環境影響予測部
[研究期間] 平成8年度〜平成10年度
- 本年度は微粒子中の硫黄成分分析のためのSCDの検出感度の向上を目指し,一酸化硫黄生成反応炉の改造を行うとともに,硫酸ミストを発生させ,検出限界濃度,ノイズを検討し,改良化を図る。 光学特性については,昨年度試作した四重極電場により,エレメンタリカーボンの微粒子を浮遊させ,散乱光の角度分布から屈折率の波長依存性を測定するとともに,赤外領域における吸収特性などの光学特性を検討する。これらの光学特性をもとに,対流圏の微粒子による温暖化または寒冷化など気象への影響をシミュレーションする。
- 海洋表層二酸化炭素分圧と海洋パラメーターの定量化に関する研究
- [担当部署] 環境影響予測部
[研究期間] 平成8年度〜平成10年度
- (全体計画)
- 本研究の目的である「北太平洋のCO2 吸収モデルを確立し,最終的 には全海洋CO2 吸収モデルの開発を目指す」ために,現在の海洋表面水中の二酸化炭素分圧の分布を支配している物理・化学・生物過程を詳細に検討し,それらの過程を表すパラメーターと海水中二酸化炭素の関係を定量的に表現する関係式を見出す。
- (本年度の研究内容)
- 平成9年度に175゚E線上のデータから見出した水温,塩分から二酸 化炭素分圧を推定する方法を他の海域にも適応し,改良をはかる。
- 土地利用変化に伴う二酸化炭素等の収支に関する現地観測研究
- [担当部署] 環境影響予測部,大気圏環境保全部
[研究期間] 平成8年度〜平成10年度
- 資源環境技術総合研究所は森林の農地化・2次林化に伴う大気微量成分の収支測定を分担し,それらのデータセットの整備し,モデル化に資する。衛星データから農地化・2次林化した地域を選び,現地において二酸化炭素のフラックスと土壌の炭素と窒素の変化と関連した気象要素の測定を行う。
- 測定には,土壌成分の分析と土壌から大気へのフラックスをチャンバー法を用いる。窒素収支には安定同位体比の測定により窒過代謝過程を調べる。二酸化炭素の被覆層から大気へのフラックスは観測塔を利用した渦相関法(点観測)と空気力学法(面観測)により測定する。現地共同研究相手機関と協力した長期的測定と気象条件等の環境条件の変化による長期的影響を調べる。
- これらの測定結果をもとに,各気体の発生・吸収に関する植生,土地利用状況を考慮したデータベースの作成し,温室効果気体の大気へ のフラックスの評価モデルへ資する。
- (本年度の計画)
- 研究対象地域の選定と測定装置の設置と試験的運用。
- 森林生態系を含む局地気候モデルによる局地気候変動の評価に関する研究
- [担当部署] 環境影響予測部
[研究期間] 平成9年度〜平成11年度
- 資環研メソスケールモデルに水文過程,森林生態系モデル,都市モデルを組み込む。森林生態系モデルについては,その蒸散作用や光合成速度について気象条件や二酸化炭素濃度に対する応答を実測に基づきパラメタライズする。グローバル気候モデルの結果を分析し,局地気候モデルに組み込む外的条件についてのシナリオを設定する。
- 本年度は,森林生態系モデルを局地気候モデルへ組み込むとともに,モデルパラメータを得るために高山の観測地点で測定を行う。
- 未来型小規模エネルギー供給技術に関する研究
- [担当部署] エネルギー資源部
[研究期間] 平成9年度〜平成11年度
- 都市の多様な特性と需給のバランスを考慮したシステム化念頭におき,燃料の採掘,技術的モジュールの製造などを考慮し,技術の導入によるCO2排出削減効果をライフサイクル的に評価する。
- 燃料電池とその周辺技術である熱電変換機器などの利用の温暖化抑制効果を評価する。
- 太陽光発電,太陽熱利用ケミカルヒートポンプなど小規模分散型の自然エネルギー供給技術の都市内での将来的利用可能性を定量的に評価する。
- 平成10年度は, 次の項目を実施する。
- (1) 燃料電池の利用とその周辺技術の検討
- 燃料電池とその周辺技術の開発状況の調査
- 太陽熱利用技術のCO2 排出量の算定
- (2) 都市内自然エネルギーの利用の検討
- モデル都市の自然エネルギー利用可能量の検討
- 都市の熱エネルギーバランスの評価モデル開発
- [担当部署] 環境影響予測部
[研究期間] 平成9年度〜平成11年度
- エネルギー消費の結果であり指標ともなる人工熱を中心として,都市の熱収支構造を観測的に解明し,都市構造に関する諸パラメータとエネルギー消費・熱収支を関係づけるシステムモデルを構築する。具体的には,
- 多様な土地利用や建造物が複雑に分布する市街地における熱収支の諸要素を野外観測によって実測し,実体の解析を行う。
- それらの解析結果に従って重要なパラメータを抽出 し,都市を包括 する熱・エネルギー・気象・大気汚 染システムのモデルに結び付ける。このため,建築・ 市街地構造の熱収支モデルおよび局地気象モデルを整 備するとともに,これらの仲立ちをする都市キャノピ ーモデルによってシステム化をはかる。
- 平成10年度は,前年度の低層ビル街とは形態の異なる市街地,特に諸街区の混在地域をねらって熱収支観測を行い,実地データを蓄積するとともに,引続きエネルギー消費量・人工熱生成量などのデータを都市構造と関連づけた形で収集,基礎を進める。前年度に整備した都市キャノピーモデルの活用法について検討する。並行して,現状の都市の熱・エネルギー構造とそれに対する代替プランの特性解析を,他のサブテーマと連携して検討する。
- 高硫黄分炭を対象とした簡易脱硫技術に関する研究
- [担当部署]統括研究調査官,熱エネルギー利用技術部
[研究期間]平成9年度〜平成11年度
- 中国南西部で産出される高硫黄分炭(S分5%以上)をベンチスケール規模の循環流動層燃焼装置で燃焼させ,中国産の石灰石で炉内脱硫を行う場合の燃焼挙動,脱硫挙動を調べ,高硫黄分炭の炉内脱硫を行う場合の問題点を明らかにする。
- また,中国産石灰石の脱硫性能とか焼後の細孔構造の関係を調べ他の中国産石灰石の脱硫性能を予測する指標を検討する。 炉内脱硫以外の方法として,排ガスの低温脱硫を循環流動層により行う方式について検討する。本年度は温度,水蒸気濃度の影響を調べ,最適運転条件を明らかにする。
- 固定燃焼装置おけるN2O排出抑制法に関する研究
- [担当部署] 熱エネルギー利用技術部
[研究期間] 平成10年度〜平成11年度
- 従来の燃焼法の改善によるN2O低減法をより高度化し,部分高温化,二段燃焼の強化を組み合わせ更なるN2O抑制法を開発する。上記方法と並行して,炉内で作用する分解触媒による低減法を実用化するため,候補となる活性粒子を探索すると共にその効果を実験的に調べる。 また,新しい方法として,未燃炭素によるN2O分解効果を積極的に利用する方法の可能性を検討する。そのためN2O分解機構を詳細に検討し分解反応の最適条件を見いだす。
- 東アジア海域における有害化学物質の起源と蓄積に関する研究
- [担当部署] 水圏環境保全部
[研究期間] 平成10年度〜平成11年度
- 東アジア海域の底質試料やマッセル試料中の有機スズ化合物,有機ハロゲン化合物を分析する。これらのデータに基づいて,各海域に放出された有害化学物質の行方と起源を有害化学物質の種類と濃度,異性体パターンなどから推定する。
- また,現場ろ過により溶存態と懸濁態を分別して定量することにより,有害化学物質の海水から底質への除去過程と蓄積過程を明らかにする。 平成10年度は,東シナ海の溶存態,懸濁態の有機スズ化合物及び分解生成物の分析による東シナ海域での分解・除去過程の解明,並びに東シナ海・日本海の孤島で採取したマッセル中の有機スズ化合物の濃度を測定することにより,外洋域での汚染実態を明らかにする。
資源環境技術総合研究所 ホームページ
| National Institute for Resources and Environment |