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平成11年度 年報


2.1 試験研究業務

2.1.2 経常研究


〔大 項 目〕安全・保安技術

〔研究 題目〕化学物質のリスク評価における不確実性の検討
〔研究担当者〕米澤 義堯、駒井  武、蒲生 昌志、東野 晴行

〔研究内容〕大気経由曝露のへ排出負荷源の空間分布の曝露量推定への影響について、対象物質をベンゼンへとし、関東地域を対象として検討した。ベンゼンの環境排出は、日本化学工業協会等の公開資料と工業統計や、交通センサス等を用いて空間分布を推定し、グリッド型多媒体輸送モデルを用いシミュレーションにより大気濃度を推定した。
 その結果、環境排出負荷の高い地域と曝露人口の高い地域の偏在とこれらが重なることなどのため、汚染の広がりの定量的な評価のためには、人口密度で重み付けをした曝露量を指標とすることが有効であることを確認した。


〔研究 題目〕弾性波による内部亀裂評価法の研究
〔研究担当者〕冨島 康夫、竹原  孝、青木 一男

〔研究内容〕岩盤、地盤、コンクリート構造物あるいは金属材料内部に潜在している亀裂の評価、モニタリングを精度良く行うことは、岩盤、地盤の安全性評価、安定性評価および材料検査等を行う上で必要不可欠な要素である。本研究は、亀裂の存在評価に留まらず、亀裂の長さ、開口幅等の亀裂の状況、あるいは亀裂面の強度に代表される工学的特性評価の手法および理論について検討するとともに、亀裂の長期的なモニタリング法についても検討することである。平成11年度は、花崗岩試料を用いた水圧破砕により、亀裂生成前後の透過弾性波変化の解析実験を行った。その結果、透過弾性波の減衰率変化から亀裂生成時の把握が可能であること、減衰率変化量と亀裂の内部接触率の間には有意な関係が存在することが明らかとなった。


〔研究 題目〕岩盤のフラクチャープロセスに及ぼす化学物質の影響の研究
〔研究担当者〕歌川  学、瀬戸 政宏

〔研究内容〕本研究では、湿潤環境下で化学物質の種類や濃度が岩石強度に及ぼす影響について検討を行い、健全性評価に資する他、強度の低下あるいは増大についての整理を行う。また、破壊機構の変化についても検討を行う。
 昨年度提案したき裂内環境が湿潤下にある際の破壊靭性評価方法を用いて、湿潤環境下で三点曲げ試験を行い、AEの発震機構解析による破壊メカニズムの検討を行った。その結果、発生するAEから推定される破壊機構はすべてせん断型クラックの発生によるものであることが分かった。また、化学薬剤添加、湿潤環境下での破壊靱性への効果に関するデータの蓄積を行った。


〔研究 題目〕極性化学物質の環境中金属表面吸着の研究
〔研究担当者〕中山 紀夫、国松  直、北原 良哉

〔研究内容〕極性化学物質として環式ウレイド化合物、特にウラシル及びその誘導体に着目し、ウラシル、5−アミノウラシル、5−ニトロウラシル等が飽和Ca(OH)2水溶液(コンクリート模擬水溶液)中で優れた鉄鋼腐食抑制効果を示すことを見出すとともに、その鉄鋼表面への吸着機構、腐食抑制機構を明らかにし、これら化合物が腐食抑制効果を発現するための分子構造上の特徴を特定した。これによりこれら化合物が鉄筋腐食防止剤として適用できる見通しを得た。


〔研究 題目〕液相中における気泡核形成メカニズム解明の研究
〔研究担当者〕高橋 正好、小杉 昌幸、田中 敦子、大森阿津美

〔研究内容〕本研究は、気泡核の形成に関する物理・化学的な要因を明らかにすることを目的としている。本年度は石英中の流体包有物を利用して、陰圧条件下での相変化特性について調べた。その結果、古典的な核形成理論により温度変化に伴うInduction timeが合理的に説明可能なことを実験データとして初めて明らかにした。しかし、準安定溶液の体積の増加がInduction timeに与える影響については、従来の理論から予想される結果とは異なった傾向が認められた。また、窒素などの気体が高圧下で大量に水に溶解した条件での気泡核形成について研究を行った。その結果、超音波などによる物理的な刺激が局部的な撹拌を生じた場合に、核形成を劇的に促進することが明らかになった。


〔研究 題目〕安全問題に関わるリスク削減対策の社会経済的評価の研究
〔研究担当者〕岸本 充生、駒井  武、蒲生 昌志、東野 晴行

〔研究内容〕本研究では、社会全体における安全対策を取り上げ、そのリスク削減対策について、社会経済的な評価を行うための枠組みを検討し、実際に定量的な分析を行うことを目的としている。日本においても化学物質のリスク管理の分野に適用されるようになってきた社会経済評価手法は、欧米では以前から社会安全の分野や、労働安全衛生分野にも適用されて意思決定に利用されている。そのために欧米における実際の適用状況について調査を行った。本研究で取り上げるリスクは、公衆衛生から、交通事故や火災、家庭内事故、産業事故などである。とくに労働安全衛生問題への費用便益分析の適用、および、費用効果分析への生活の質(クオリティ・オブ・ライフ)概念の導入を重点的に検討している。


〔研究 題目〕動的破壊パラメータを考慮した制御発破技術の研究
〔研究担当者〕緒方 雄二、和田 有司、瀬戸 政宏

〔研究内容〕岩石の動的力学特性を評価するために、ホプキンソン効果を用いた実験から動的破壊パラメーターとしてひずみ速度、含水率に着目し、破壊特性に及ぼす影響について検討し、引張強度がひずみ速度の1/3乗に比例することを明らかにした。また、トンネル等の掘削時の圧力条件を考慮した封圧実験を実施し、き裂の進展状況を観察し、破壊制御技術について検討した。さらに、発破振動の制御法として、発破振動を常時モニタリングし最適秒時差を解析する方法を実規模発破解体実験に適用した。


〔研究 題目〕作業環境騒音中における音声伝達の研究
〔研究担当者〕今泉 博之、田中 敦子、高橋 正好、
        大森阿津美、中川 祐一、小杉 昌幸

〔研究内容〕音情報を用いたコミュニケーション手段が多様化する中で、様々な聴取環境下における音声情報の伝達に関する研究が重要性を増している。本研究では、作業環境騒音が支配する場合に被験者が音声情報を理解する過程に及ぼす提示回数や情報中の文脈(内容)の影響などを検討し、音声情報の聴取に係わるエラーの発生メカニズム解明を目的とする。


〔研究題目〕高分子材料のインパクト評価のための無制御燃焼の研究
〔研究担当者〕中川 祐一、大森阿津美、田中 敦子、高橋 正好、
        今泉 博之、小杉 昌幸、東野 晴行、今川  隆、匂坂 正幸

〔研究内容〕火災、野焼きなどの無制御燃焼の環境影響評価に資する環境汚染物質に関する基礎データの蓄積と排出量算定法について検討するため、本研究を開始した。平成11年度は、火災によるダイオキシン類(特にPCDD/Fs)の排出量に関する国内外の研究動向調査を実施した。この結果、(1)阪神・淡路大震災時の火災焼け跡及び廃材野焼き現場残灰中のダイオキシン類排出データ、(2)ドイツにおける火災時の飛煤及び焼け跡残灰中のPCDD/Fs年間排出量試算例、(3)英国におけるPCDD/Fs発生源インベントリ中の火災事故の位置づけ、について整理した。また、火災による多環芳香族炭化水素(PAHs)の排出量についても文献調査を行った結果、特にドイツにおけるトンネル内車両火災実験時や各種実火災後に採取された煤及び残灰試料の分析結果から、PAHsの発がんリスクがPCDD/Fs以上に大きい可能性が示唆された。


〔研究題目〕地下作業環境下の粉じん測定法の開発
〔研究担当者〕鈴木  忠

〔研究内容〕地下空間における粉じん測定について迅速かつ容易にそして高湿度等の影響の少ない測定法を確立するために粉じん測定システムの検討を行った。測定システムは模型坑道中に粉じん発生器の粉じん試料を坑道気流下に定量噴霧する技術を開発し相対式粉じん計で噴霧粉じん量を計測し、定量噴霧特性を求めた。この結果相対式粉じん計を質量換算値で校正できることを明らかにした。


〔研究 題目〕摩擦火花によるガス着火防止技術の研究
〔研究担当者〕境  勝介、内田 早月、中川 泰征

〔研究内容〕工場等で使用される可燃性ガスが漏洩した場合、着火源として火炎や電気火花などが考えられているが、摩擦火花による可燃性ガスへの着火の危険性は考慮されていない。
 本研究は、摩擦火花による各種可燃性ガスの着火危険性を検討し、ガス爆発に対する災害防止技術に資する。今年度は、可燃性ガスの摩擦火花による着火性を比較するため、落錘式試験装置を使用しメタンガスの最低着火条件を求めた。アルミ合金A7075を用いた実験で、3m−2kgで着火率40%、2m−2kgで着火率10%の結果を得た。また、プロパンガスの摩擦火花による最適着火ガス濃度は、3%付近であることがわかった。


〔研究 題目〕防爆技術の高度化に関する研究
〔研究担当者〕鈴木  忠、内田 早月、中川 泰征

〔研究内容〕可燃性ガスの作業環境下は、使用される電気機器のハイテク化にともない、多種多様な防爆機能を有する電気機械の開発が望まれている。本研究は既存の防爆試験法では対応できない技術の高度化について調査を進め開発要素を検討し、新たな試験法の基準作りや高度な技術の防爆機器の開発を行う。本年度は移動電話通信システムの防爆化の調査開発を進めている。一方、監視ロボットシステムの防爆化についても調査開発を実施した。


〔研究 題目〕木質粉じんの着火性の研究
〔研究担当者〕佐藤 英一、小山保 順、緒方 義弘

〔研究内容〕木質繊維の製造及び加工工場において木質粉じんによる燃焼や爆発の防止を図ることを目的とする。
 本年度は、試作した吹上式爆発試験装置の粉じんの分散性を改善するため、装置を改良して爆発下限界濃度を求めた。その結果は、106μm以下の粉じん粒子では放電エネルギ−が450Jの時、爆発する粉じん濃度は40g/m3台であった。
 また、粉じんによる帯電では、製造工程の静電気測定結果は作業員に+4.5kVの帯電がみられ、静電エネルギ−約1mJの値を得た。最大測定電位は作業用具の+15kVであった。


〔大 項 目〕環境・資源・エネルギー技術

〔研究 題目〕二酸化炭素濃度およびフラックス測定データ解析による炭素循環過程の調査研究
〔研究担当者〕山本  晋、近藤 裕昭、村山 昌平、三枝 信子

〔研究内容〕世界の二酸化炭素濃度およびフラックス測定データを収集し、気候区分、緯度帯、植生条件などによる二酸化炭素濃度、大気/陸上植生間フラックスの差異および経年・季節変化を解析し、炭素循環過程における陸上植生の役割を評価する基礎的資料を整備する。 本年度は文献調査により、日本、世界の二酸化炭素等の植物生態系と大気間のフラックス通年測定サイトとフラックス測定結果を収集するとともに、各種森林生態系の炭素固定能を調べた。また、二酸化炭素等のフラックス測定ネットワークの世界および地域別の構築状況を調べた。さらに日本のフラックス測定ネットワークの構築を進めている。


〔研究 題目〕環境中の揮発性化学物質の変換過程の研究
〔研究担当者〕竹内 浩士、忽那 周三、根岸 信彰、小原ひとみ

〔研究内容〕環境中における揮発性化学物質の変換過程を明らかにするために、土壌などが関与した変換過程の速度と生成物の環境条件への依存性に関する基礎研究を行う。
 昨年度までに粘土鉱物ハロイサイト上などで、テトラクロロエテンなどの揮発性化学物質が300 nm以上の波長領域の光照射で不均一光分解すること、光分解には誘導期間のあることを見出した。また、反応機構として、ハロイサイト表面の電場下でテトラクロロエテンと酸素がCT錯体を形成して光吸収によりその一部が分解すること及び分解過程で生成する塩素原子がテトラクロロエテンと反応する機構を推定した。本年度は、この反応機構にしたがってシミュレート計算を行い、テトラクロロエテン初期濃度依存性などの実験結果を再現する反応速度定数を推定した。その結果、光分解は環境中で有意な除去過程となる可能性のある速度で起きること及び塩素原子との反応は9割以上が気相ではなく表面または細孔内で起きていることがわかった。


〔研究 題目〕二酸化炭素還元錯体触媒の電気化学的研究
〔研究担当者〕竹内 浩士、堀  久男、小池 和英

〔研究内容〕前年度にケトン配位子を持つレニウム錯体における二酸化炭素光還元系で反応中間体である還元錯体の生成後に炭素ー炭素結合の形成を伴ったピナコール(隣接炭素同士に水酸基を有するアルコール)錯体が副生することを発見したが、これを応用して反応開始前に遊離のケトンを錯体とともに入れて可視光照射するとピナコールが触媒的に生成することを発見した。合成されたピナコールは医薬品、香料への用途があり、危険で有毒な試薬を用いる従来の製造法の代替法として有望である。


〔研究 題目〕加圧熱水反応におけるバイオマス変換過程の研究
〔研究担当者〕小木 知子、澤山 茂樹、美濃輪智朗、
        柳下 立夫、井上 誠一、塚原建一郎

〔研究内容〕本研究では、バイオマスから加圧熱水反応により付加価値の高い物質を製造することを試みる。
 本年度はバイオマスの主要構成成分であるセルロースを過酸化水素存在下、加圧熱水処理を行った。セルロースの可溶化成分の収率は、反応温度・過酸化水素濃度の上昇と共に増加した。得られる可溶性成分は、糖由来の成分が多く含まれていた。また、不溶性成分は、セルロースのOH基がカルボニル基に変換されているものが得られた。


〔研究 題目〕バイオマスエネルギー利用による温暖化軽減機能の評価の研究
〔研究担当者〕小木 知子、澤山 茂樹、横山 伸也

〔研究内容〕本研究はIPCC報告書などで今後大量導入が提唱されたバイオマスエネルギーについて、その供給と適用の可能性、温暖化への軽減効果の評価を試みるものである。平成11年度は、バイオマス供給可能量試算の重要因子である植林可能面積の見積もりに関し、FAO土地利用パターン図に基づく見積もり試算を行い、バイオマスの生産性と併せてバイオマスエネルギーの供給ポテンシャルを求めた。
 またデータの入手できたカンボジアについては、ランドサット衛星データ図解析から求めた土地被覆分類による試算を行い、2つの異なる手法による比較を行った。バイオマスの生産性が中位の場合でのカンボジアのバイオマスエネルギーポテンシャルはFAO方式で590/PJ/y、衛星図方式で882PJ/yであり、算定根拠を明確にすることによりそれぞれの方式でポテンシャルを試算できることがわかった。


〔研究 題目〕異種液体間の直接接触による熱移動特性の研究
〔研究担当者〕角口 勝彦、田代 守文

〔研究内容〕本研究は物性の異なる異種の熱媒液体同士が温度を異にして直接接触した場合の、液−液間の蒸発を伴う熱移動現象の解明と、熱伝達特性の定量的評価法の確立を目的としている。
 平成11年度は、互いにimmiscibleな水、メチルアルコールおよびFC72とシリコン油との三種類の組合せで二液を直接接触の上成層化させて底面から加熱する定常沸騰実験(10年度実施)を継続した。前年度新たに発見した水およびFC72の場合の突発的沸騰現象については、揮発性の高さを表す物性パラメータおよび壁面過熱度を用いてその発生条件が整理できる事を明らかにした。この現象を積極的に利用する流動発生型直接接触蒸気発生器について検討するため、年度後半は、定常場でのプール沸騰について、温水−PF5050系実験により基礎的データを得る事を試みた。


〔研究 題目〕高粘性流体を利用した蓄熱の研究
〔研究担当者〕平野  聡

〔研究内容〕都市排熱や日射熱などから取得されるエネルギーを有効に利用する上で不可欠となる、中・低温度域を対象とした蓄熱装置の効率を改善することを目的とする。具体的には、電場や磁場、温度等の外的要因で高粘性となる流体を利用して、蓄熱槽内の流れを制御する方法を検討し、基本的な蓄熱特性の解析を試みる。
 本年度は、0〜100℃程度の低温度で高粘性の流れとなり、蓄熱槽内の流れを制御できるような蓄熱材料として、熱物性や安定性、安全性、価格などから吸水性樹脂を選定し、種々の高分子の熱安定性を調べた。また、高分子の添加量と添加水の見かけの粘度との関係を測定し、明らかにした。


〔研究 題目〕省エネルギー技術の評価手法の研究
〔研究担当者〕山崎 正和、松本 成司

〔研究内容〕エネルギー技術については熱効率によって評価されてきたが、本研究ではライフサイクルにわたったシステム全体を評価するため、データの収集に努めるとともに、LCAの手法を用いた評価方法の検討、産業プロセスを考慮できるモデルの構築等を実施することにより、簡便かつ統一的なエネルギー技術の評価が可能な手法の確立を図ることを目的とする。工業用炉等における素材の製造から加工にいたる一連のプロセスを検討し、LCA評価を行うために必要なデータを検討するとともに、データの蓄積を行った。鉄鋼に関する現状の技術、既開発および現在開発中の技術等に関する調査を行い、省エネルギーの可能性等の検討を行った。


〔研究 題目〕商用航空機排出ガス及びエアロゾルの成層圏大気化学への影響の研究
〔研究担当者〕佐藤  優、瀬戸口 修

〔研究内容〕航空機の成層圏大気化学へ及ぼす影響、特に航空機運行により生成するエアロゾルの影響を調べることを目的に、成層圏環境で氷を用いて高角度反射光学系でのFTIR観察を実施した。本方法を屈折率の小さな非金属基盤上で実施することにより、得られる赤外スペクトルは粒子表面からの正反射光及びクリスチャンセン効果によってキャラクタライズされるものとなり、雲チャンバー中で氷粒子を用いて前方散乱光を観察した結果と同等なものとなることが明らかとなった。実際に観測される航跡粒子の赤外スペクトルが上記と同等な光学的意味を持つものであれば、得られた結果は模擬実験による航跡粒子組成のリトリーバルの可能性を示すものである。


〔研究 題目〕石炭、炭素類の構造と表面キャラクタリゼーションの研究
〔研究担当者〕山田 能生、古田  毅、吉澤 徳子、丸山 勝久

〔研究内容〕石炭、チャーなどの炭素の積層構造解析では、試料として600〜1000℃で熱処理したフェノール樹脂及びメソカーボンマイクロビーズの炭素六角網面による積層構造を評価した。X線回折パラータのWarren-Bodenstein解析から得た結晶化度等、熱処理に伴うパラメータの変化を電子顕微鏡の格子像の変化と比較すると、積層体の配向がこれらパラメータに大きく影響することがわかった。
 また針葉樹材からの仮導管炭素の研究では、760〜940℃における木炭のCO2ガスによる選択的な酸化反応を検討した。その結果、ある程度の選択酸化が認められるものの、CO2ガスによる低温(360℃以下)酸化に比べて小さいことがわかった。さらにCO2酸化試料の細孔特性等を調べ、反応機構との関係を検討した。
 石炭からメソ孔性活性炭を調製する研究では、高速で昇温、降下が可能な大量合成用装置を製作し、国際共同研究を行っているポーランド炭3種類を使ってTi金属を担持した活性炭を作製した。細孔分布などのキャラクタリゼーションを実施するとともに、これを排水中の汚染物質の除去に適用するために、ハロゲン含有化合物の光分解反応を行い、その特性を調べた。


〔研究題目〕新生石炭表面の構造と反応性
〔研究担当者〕海保  守、山田  理、安田  肇

〔研究内容〕石炭の破砕で生成する新生表面の化学的な性質を解明するために、真空雰囲気中で破砕できる粉砕機を製作し、真空下および不活性ガス雰囲気下における石炭の新生表面の生成挙動を検討した。今年度は、主として原子間力顕微鏡による石炭新生表面の観察を酸化の影響を排除するため雰囲気制御チャンバー中でアルゴン雰囲気下に行い、得られた3次元像とともにフォースカーブ解析による表面特性の検討を行った。石炭新生表面はフォースカーブのパターンから力学的に大きく3つのカテゴリーに分けることができ、また、それらは表面の反射率という光学的な差異に明らかに対応することもわかり、石炭組織の新規な分析手法への応用の可能性が示された。


〔研究 題目〕石炭中無機質の分析評価の研究
〔研究担当者〕海保  守、山田  理

〔研究内容〕本年度提供された15種の石炭試料について低温灰化試料のX線回折により含有鉱物を同定した。35種の石炭試料についての低温灰分と灰分との比として1.16という値が得られた。また低温灰分を基にした酸素量と従来法の酸素量との違いを求めた。炭種によって含有鉱物種のばらつきが大きいため、代表的な検量線による鉱物組成定量法の確立は困難であるが、当面、石英、カオリナイト、方解石、バッサナイトおよび石英、カオリナイト、方解石、ドロマイト、菱鉄鉱、セリサイトのそれぞれの組み合わせについてコランダムを内部標準とした検量線を作成し、定量法の再検討を開始した。最新型蛍光X線装置により35種の石炭試料についてFe、Ti、Ca、K、S、P、Si、Al、Mg、Naを分析した結果、精度的に優れた分析値が得られた。また検量線法により9微量元素(Cl、Sr、Zr、Mn、Ni、Zn、Y、Cr、Rb)を分析したが、精度的な検討が必要であることが分かった。


〔研究 題目〕石炭の熱分解と構造変化に関する研究
〔研究担当者〕川島 裕之、山田  理、海保  守

〔研究内容〕本研究は、石炭の熱分解反応を化学構造の変化という点から理解し、石炭熱分解の新しい転換法・制御法開発のための基礎データを得ることを目的としている。
 石炭に、種々の金属(Na、K、Ca、Ni等)の炭酸塩、硫酸塩、および水酸化物の溶液から金属を担持し、急速熱分解反応性(チャー収率)を測定し、金属種、担持法の熱分解反応性に対する影響を調べた。
 石炭中窒素形態およびその熱分解過程における変化を調べるため、15Nグリシンとグルコースから調製した含15N人工石炭について、熱分解に伴う窒素の形態変化を固体15N-NMRによって測定し、また、熱分解過程で放出されるガスの分析を行った。800℃以上において、チャー中のアミノおよびアミド窒素は大きく減少してガス中に放出された。ピロールおよびピリジン型窒素はチャー中に残るものが多く、ある程度ガス中にも放出されるが、その量は少なかった。窒素量の多い人工石炭を用いた場合、初期試料におけるアミド窒素量が多いが、熱分解過程における窒素形態の変化は同様であった。


〔研究 題目〕アジアにおける自動車の普及に伴うそのエネルギー需要予測及び素材の廃棄・リサイクルと環境の解析
〔研究担当者〕稲葉  敦、匂坂 正幸、近藤 康彦、松野 泰也、
        八木田浩史、玄地  裕、大矢 仁史、松本 成司

〔研究内容〕アジア各国における最終エネルギー需要、および電力エネルギー需要を解析し、路上輸送用液体燃料需要を検討した。その結果、各国人口1人あたりのGDPで整理すると、面積の極めて小さな香港と、すでに自動車の普及が飽和状態に近くなっている日本が独自の変化を見せるほかは、一定の幅を持った直線上に分布していることがわかった。これを外挿すると、今後もアジアの自動車の普及は一人あたりGDP値と直線関係で増加することになり、石油資源の静的耐用年数減少の大きな要素となり、それに伴う大気汚染、地球温暖化への実効ある対策が必要である。
 廃材のリサイクルについては、鉄鋼と、その回収時に発生する亜鉛ダストの資源化に関するLCA評価を行った。その結果、電炉ダストからの亜鉛回収は二酸化炭素排出量の面からは優位性が見られず、資源保護の面で意義を持つことがわかった。今後は、ダスト捕集の状態をより金属回収しやすい方法にする検討が必要である。


〔研究 題目〕アスファルテンの物理的・化学的構造と反応特性
〔研究担当者〕近藤 輝男、佐藤 信也、松村 明光、
        石川 越朗、斎藤 郁夫

〔研究内容〕ブラジル産Marlim減圧残油から分離したアスファルテンと溶媒(Quinoline、Tetralin、Methylnaphthalene、Decaline)との相互作用について検討した。理論計算から求めた溶媒のHomo-Lumo gapと実測したアスファルテンの溶媒への溶解熱との相関関係を整理するとともに、分子動力学からもとめた溶媒中でのアスファルテンの3次元挙動からアスファルテン−溶媒の相互作用及びアスファルテンの分散会合状態を解明した。


〔研究 題目〕低品位炭の改質プロセスの開発
〔研究担当者〕加茂  徹、佐藤 芳樹

〔研究内容〕本研究は、低品位炭を脱水・改質して発熱量と貯蔵安定性を向上させ、有用な発電燃料として低品位炭の需要拡大を図るプロセスの開発のための基礎データを取得することを目的としている。
 乾燥による褐炭の自然発火等、空気中における石炭の安定性と石炭表面の官能基との関係を明らかにするため、石炭表面に存在するOH基やCOOH基を定量する手段を確立する。また、石炭を加熱処理することによる官能基の変化を測定し、分子軌道計算やモデル化合物の実験から得られたデータと実際の石炭の反応との関係を明らかにする。


〔研究 題目〕燃料油の選択的酸化脱硫
〔研究担当者〕矢津 一正、古屋  武、山本 佳孝、三木 啓司、
        佐藤 信也、指宿 堯嗣、松沢 貞夫

〔研究内容〕軽油の超深度脱硫技術の開発を目的として、水素化脱硫法では難反応性硫黄化合物であるジベンゾチオフェン類の選択的酸化脱硫法について検討した。今年度は、ジベンゾチオフェン類の選択的酸化条件を探索するため、種々の酸化剤存在下におけるジベンゾチオフェンの酸化反応性について検討した。その結果、ジベンゾチオフェンの光酸化において、無水フタル酸や無水マレイン酸などの酸無水物系およびアントラキノンなどのキノン系の光増感剤が有効に作用することがわかり、常温・常圧下での、酸素を酸化剤とするジベンゾチオフェン類の光増感酸化法を見出すことができた。


〔研究 題目〕持続可能発展のためのリサイクル評価
〔研究担当者〕遠藤 茂寿、鈴木 繁幸、大矢 仁史、稲葉  敦

〔研究内容〕必要なエクセルギーデータを収集し、プラスチックのリサイクルシステムについてのエクセルギー解析法についてその概念的な考え方を提案し、具体的事例計算を行った。
 また、ビデオテープに使われているポリスチレンをマテリアルリサイクルをするときの粉砕プロセスの環境負荷について実験的に検討を行った。


〔研究 題目〕析出過程制御による金属系素材回生
〔研究担当者〕玉川 建雄、西須 佳宏、小林 幹男

〔研究内容〕本研究は、多様な成分を有する使用済み素材から有用金属を効率よく高純度で回収する技術を開発し高度なリサイクルを可能とすることを目標として、析出過程とその応用について検討している。本年度はレア・アース等の有用金属を含む蛍光体微粒子を水溶液中で合成・再素材化する方法に関連して、析出過程での濃度条件や共存イオンの効果等について検討した。ここでは、塩酸・硝酸水溶液系で均一な析出生成物が得られる方法で硫酸水溶液系では不定形析出物が生成するが、その際の陰イオンの影響等について明らかにした。また亜鉛等の高温ガスを対象とした凝縮・析出過程に関して不活性ガス中における亜鉛の揮発・凝縮測定を行い、揮発速度と析出挙動について明らかにした。


〔研究 題目〕溶液系を利用した高効率な精製及び電解
〔研究担当者〕六川 暢了、小山 和也、田中 幹也

〔研究内容〕金属系素材の高度リサイクルに際し重要となる浸出、溶媒抽出、電解等の要素技術の革新を目指し、選択性向上、省エネルギー化の検討を行った。ニッケル含有素材として石油系燃焼灰からの有用金属の浸出、分離について検討し、過酸化水素による最適浸出条件を見いだし、溶媒抽出法によりニッケル及びバナジウムをそれぞれ分離することができた。また、溶媒和型抽出剤CLX50による塩化物溶液からの銅の溶媒抽出分離について検討し、抽出及び逆抽出に必要な所用段数をMcCabe-Thiele法により見積もった。更に、塩化物水溶液系における銅の電解採取に関して、第一銅イオン共存により電流効率の向上が確認できた。


〔研究 題目〕強い外場の下での相転移ダイナミクス
〔研究担当者〕灘  浩樹

〔研究内容〕電場・磁場の印可や不純物の混入によって液体の分子配列構造がどのように変化するかを分子シミュレーション法により調べ、それらが結晶相転移速度に及ぼす影響を検討する。
 本年度は、不純物メタノール混入による水の分子配列変化をモンテカルロ計算により明らかにし、さらにその結晶化相転移ダイナミクスへの影響を結晶成長実験により調べた。


〔研究 題目〕赤外線等の電磁波計測による亀裂の可視化及び評価手法の研究
〔研究担当者〕青木 一男、成田  孝、冨島 康夫、石原 治幸、竹原  孝

〔研究内容〕含水状態の異なる岩石(砂岩)供試体を用い、赤外線画像(見かけの表面放射率)の違い、すなわち、岩石供試体の飽和度と表面放射率との関係を調べた。この結果、岩石が含水していると表面放射率は乾燥状態のそれに比して低下すること、例えば、飽和度80%の場合で室内乾燥状態の約10%、飽和度40%の場合で約0.5%低下することが明らかになった。従って、岩石の亀裂に水が存在していると赤外線画像によって検出可能であることが確認された。


〔研究 題目〕DSCA地圧計測法に及ぼす岩石構成粒子の影響
〔研究担当者〕及川 寧己、山口  勉

〔研究内容〕DSCAは岩石コア試料を用いた地圧計測法の一種である。本研究では高圧の地下からの採取時にコア試料が被る応力履歴に着目し、これとDSCAによる地圧評価の際に計測されるコア試料内部のき裂系との関係を明らかにすることにより、DSCAの原理に関する合理的な説明を与えようとするものである。本年度は、これまで実施した一軸引張試験によって生じた試料内損傷をDSCAで評価した結果をふまえて、新たな力学的モデルを考案して引張実験時の試料内部のき裂の挙動及び応力解放時にこのモデルがどのように振るまうかについて検討した。


〔研究 題目〕不定形重量物環境のモデリングと行動様式の基礎的研究
〔研究担当者〕皿田  滋、今泉 博之

〔研究内容〕土砂すくい取り作業におけるバケット動作生成を対象とした検討を行った。作業開始以前の環境情報に基づいて初期動作を生成し、作業中に行動を修正する方法として力覚情報を用いたファジー論理による行動決定方式を作成し、実験模型を用い、異なる形状の堆積物に対するバケット動作生成実験を行った。さらに、動作中のバケット反力を計測し、力覚情報による行動の評価について検討した。


〔研究 題目〕ガスハイドレート生産コンセプト構築の基礎的研究
〔研究担当者〕小林 秀男、大野 哲二、駒井  武、山本 佳孝、
        羽田 博憲、斉藤 隆之、清野 文雄、高橋 正好

〔研究内容〕海底地層中に固体状で賦存するガスハイドレートの生産コンセプトを構築するため、必要な技術課題の抽出および問題解決の手法について検討する。水深1000m程度の海底ガスハイドレート賦存領域は、海底面から300m程度までで、地層の間隙率は約30%と高く、ハイドレート採取に伴い地層の安定が損なわれたり、また分解ガスが海水中に漏洩する可能性がある。これらを抑制するため、ハイドレート地層の上部に分解ガスの逸散を妨げる人工キャップロック(二酸化炭素ガス注入による)の形成と、採取後の残留水に対して二酸化炭素ガスを注入して二酸化炭素ハイドレート地層を形成する手法を提案した。この手法の実現可能性を確かめるため、メタンハイドレートおよび二酸化炭素ハイドレートの生成・分解特性および動的な分解挙動について、実験的に検討した。


〔研究題目〕地殻の熱的機能利用技術の研究
〔研究担当者〕盛田 耕二

〔研究内容〕深部高温地殻の開発・利用技術の研究においては、DCHEによる小規模地熱発電システムについて、数値シミュレーションにより運転挙動の検討を行った。その結果、DCHEと組み合わせる発電システムとしては、バイナリーサイクル発電システムよりもカリーナサイクル発電システムの方がより適していることがわかった。
 浅部低温地殻の開発・利用技術の研究においては、岩手県二戸市のガイア融雪システムについて長期運転特性の検討を行った。また、青森県深浦町、黒石市、青森市、盛岡市等に融雪システムを設置する場合を想定して、システムの基本設計を行うとともに、電力消費量や二酸化炭素削減効果等に関する事前評価を行った。さらに、地層熱交換型冷暖房システムについて、従来型冷暖房システムと比較評価を行った。


〔研究 題目〕廃棄物焼却に伴うダイオキシン類の動態・蓄積濃度予測の研究
〔研究担当者〕東野 晴行、駒井  武、蒲生 昌志

〔研究内容〕本研究は、廃棄物焼却に伴うダイオキシン類の排出量や形態及び場所を調査し、大気圏、水圏、土壌など多媒体間の物質移動を表現できる運命予測モデルを用いることにより、各媒体におけるダイオキシン類の蓄積濃度を予測することを目的とした。一般廃棄物の焼却に伴うダイオキシン類の発生源の把握を行った。関東地方における排出量、組成、場所などを調査し、シミュレーションの基礎となる排出量マップを作成した。ダイオキシン類の環境動態を表現できるような化学物質の運命予測モデルの開発を行い、必要なパラメータ類(媒体間分配係数、反応・沈着定数など)について調査を行った。大気モデルに関して月平均程度の長期曝露濃度に関して予測精度の検証を行い、関東地方のダイオキシン類の環境中濃度分布の推定を行った。土壌・水圏における濃度の推定も行ったが、発生源やパラメータなど不確定な要素が大気の場合と比較して非常に大きい。さらなる調査・研究が必要である。また、一般廃棄物焼却以外の発生源についての調査や、焼却炉の燃焼改善や統廃合などの対策がなされている排出源についてのデータのアップデートも引き続き必要である。


〔研究 題目〕有機塩素系化合物による環境汚染のリスク管理施設の費用効果分析の研究
〔研究担当者〕蒲生 昌志、駒井  武、東野 晴行、岸本 充生

〔研究内容〕有機塩素系化学物質のリスク管理施策には、単に排出量の抑制のみならず、法制度や学術研究、消費行動といった様々なものが考えられる。本研究では、それらの対策の費用対効果を解析するための手法の開発およびケーススタディーを行うことを目的としている。まず、有機塩素系化学物質の乳幼児へのリスクの経年変化を評価するため、新しいモデルを開発した。それは、薬物動力学モデルを複数世代にわたり重ね合わせることにより、胎児や乳幼児に対する化学物質の曝露の経年変化を推定でき、リスクの削減施策の効果の推定に有効である。また、情報の価値解析を化審法(化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律)に対して適用し、現行の審査において要求される各種の試験を構造活性相関式に置き換えることの費用対効果を調べた。


〔研究 題目〕衛星データを利用した地表面放射量計測の研究
〔研究担当者〕神宮司元治、國松  直、野田 和俊

〔研究内容〕本研究は、人工衛星を利用した面的な地表面熱流分布の計測手法の確立を目的とする。従来、地表面の熱流については地表面の熱収支を計測することで、地表面から放出される熱流の評価が行われてきた。しかしながら、地表面熱収支では静的な熱流バランスを考慮することから、地表面及び被覆物質の熱容量の相違に伴う影響を十分に考慮することができない。また、接地気象学的な計測を基にしているので、リモートセンシングに適用するために重要な面的な計測が困難である点も欠点と考えられる。
 本年度は、動的な熱伝達と静的な熱伝達の二つを区分し、地表面の熱流モデルに対して、電気回路によく類似した熱抵抗と熱容量で構成されるR−RC直並列熱交流回路モデルの導入を行い、室内実験でのモデルの検証及び野外での計測実験を行った。その結果、室内実験において行われた周期加熱に伴う熱応答を本モデルを用いて説明できることを明らかにした。また、野外実験の結果、本モデルに基づく計測手法で求められた放熱係数が一般的に適用される放熱係数とほぼ同程度であることを明らかにした。


〔研究 題目〕ガス濃縮の基礎的研究
〔研究担当者〕羽田 博憲、緒方 義弘

〔研究内容〕メタンハイドレート、コールベットメタン等のメタン資源を次世代のエネルギー資源として有効利用し、地球温暖化物質の代表である二酸化炭素、メタンの回収を行うための濃縮技術の開発を目的とする。ハイドレート技術を応用し、空気と二酸化炭素及びメタンの混合ガスについてハイドレート化の検討を行った。
 空気と二酸化炭素及びメタンの混合ガスハイドレートのラマン分析を行った結果、各ハイドレート中に窒素がハイドレートの籠の中に存在することが判った。このことは、混合ガスハイドレートから純度の高いガスを得るにはハイドレートの生成・分解を繰返す必要があることを示す。
 空気とメタンの混合ガスハイドレートの相平衡条件を調べた結果、空気とメタンの相平衡条件の間を濃度比に応じて変動することが判った。


〔研究 題目〕メタンハイドレートの時空間メゾスケール特性に関する研究
〔研究担当者〕清野 文雄、高橋 正好、駒井  武、山本 佳孝

〔研究内容〕メタンハイドレートの開発には、分子スケール、メゾスケール、連続体スケールの3つのスケールに立脚したアプローチが必要である。本研究では、時空間メゾスケールにおけるメタンハイドレートの動特性を解明し、メタンハイドレート開発に必要なブレークスルー技術を開発することを目的とする。
 本年度は統計熱力学に基づいた平衡条件下でのハイドレート生成モデルを作成し、非平衡条件下における実験結果と比較した。
 また、液体微粒子噴射型ハイドレート製造法および高圧マイクロバブル発生型ハイドレート製造法を発明し、実験室スケールの実証プラントを製作するとともに、その性能を実証した。両製造法はハイドレートのハンドリングに必要なブレークスルー技術であり、今後、天然ガスのハイドレート化輸送技術、ハイドレート化貯蔵技術、ハイドレートを用いた環境負荷物質の分離技術等で活用される。


〔研究 題目〕革新的水素製造方法(RING)の反応機構と最適反応条件
〔研究担当者〕大屋 正明、幡野 博之、鈴木 善三、三島  寛、
        松田  聡、請川 孝治、斎藤 郁夫、佐藤 信也、
        三木 啓司、古屋  武、佐藤 芳樹、加茂  徹、
        横山 伸也、三濃輪智朗

〔研究内容〕石炭を基に高温高圧条件を利用したガス化により高効率で水素を生産出来ることが確認された。本研究では対象を全ての有機物に広げ、水素や副生するメタンへの転換反応機構と最適反応条件を明らかにし、システム化の際の課題を明確にすることを目的としている。
 本年度は新たに製作したバッチ式反応装置を用いて石炭で得られた結果を基準としてプラスチックや重質油などの燃料からの水素発生試験を行い、水素生成量、水素濃度、副生するメタン濃度に及ぼす反応温度、圧力、触媒添加量の影響について検討した。さらに、グルコースをバイオマス燃料の代表とした液系連続試験も実施した。いずれの場合も反応圧力が100気圧以下と低くなってもガス生成速度が十分高く、また、水と燃料中のCとの比が多い方がガス生成速度が高くなることが分かった。


〔研究 題目〕岩盤内応力の長期測定技術の研究
〔研究担当者〕成田  孝、富島 康夫、石原 治幸、青木 一男、山口  勉

〔研究内容〕従来、原位置において岩盤内の地圧を測定する手法として水圧破砕法やオーバーコアリング法等が提案されている。しかしながらこれらの手法は、測定時における原位置の地圧を測定できるのみである。実際に岩盤斜面や大規模地下空間の安定性、特に崩壊や崩落の危険性を予知・評価する際には、地圧の経時変化を連続的に測定することがより重要である。本研究では、地圧変化を安価かつ簡便に測定できる手法を開発し、この手法の普及を目指して、現場においては、地圧測定用のハードウェアを開発しその性能を実証し、さらに、研究室内においてはその計測結果の解析手法を有効性を示すことを目的とする。平成11年度は、前年度に試作した2種類の地圧測定用センサーを、立方体岩石供試体内に設置し1軸または2軸方向から載荷し、センサーの出力と載荷応力との関係について検討し試作センサーの性能試験を行った。また、原位置試験に適用できるよう試作センサーの改良を行った。さらにこれら地圧測定センサーにより計測される応力変化データを用い原位置応力を解析する手法について検討を行っている。


〔大 項 目〕海洋開発技術

〔研究題目〕乱流中に出現する秩序構造の形成、時間発展及び崩壊に関する研究
〔研究担当者〕永翁 龍一

〔研究内容〕大気や海洋中ではレイノルズ数の高い、いわば乱流状態が実現されている。流れが乱流状態にある場合、その内部には組織構造と呼ばれる微細な渦構造が存在し、乱流エネルギーの生成やその散逸、及び熱や物質の輸送等を大きく支配することが知られている。そこで当該研究では、乱流中に出現する組織構造の力学的性質をナビエ=ストークス方程式の直接数値計算を用いることによって解明することを試みた。流れは大気−海洋表面近傍の乱流を模擬した気液界面場を選ぶこととした。詳細な解析の結果、気液表面の近傍には渦管と呼ばれる細長い渦構造が対で出現すること、その渦構造の大きさは積分スケールと呼ばれる長さスケールに近く比較的大きいこと、及びこの渦対構造と界面との相互作用が界面を通した熱物質輸送機構を大きく支配することを明らかにした。


〔大 項 目〕新材料技術

〔研究 題目〕有機無機ナノ複合体を経由したシリカ・ベース素材の創製
〔研究担当者〕小菅 勝典、 竹森  信

〔研究内容〕前年度までに開発した方法を改良し、TEOS、酢酸、ヘキサンを用いて、密着性のシリカ・ベ−ス(残留有機物の少ない)のガラス状膜(厚さ数100nmから1μm以上)をシリカ・ガラス、ステンレスなど、多くの基板上に200℃以下の温度で合成できた。湾曲した基板にも適用できた。膜は、元素分析の他、赤外、可視、紫外吸収測定、XRD解析、ラマン分光分析、TG-DTA解析、TEMおよびSEM観察、SIMS分析、スックラッチ試験等で評価し、密着性が発現する機構についても考察した。アナタ−ゼを担持させて光触媒能を持たせることも可能であった。また、Al含有球形状シリカ多孔体の合成条件を明らかにした。


〔研究 題目〕ゲスト間相互作用を利用した新規機能性層間化合物の創製
〔研究担当者〕菊川 伸行、日比野俊行

〔研究内容〕層状物質の層間という2次元に広がった特殊な空間を利用して新規な機能を持った材料を創製する。イオン交換性の層状物質の層間にはゲストとしてイオンと極性分子(通常は水分子)が、隙間なく充填している。ゲストであるイオンと極性分子の組み合わせを換えることによって、ゲスト同士の相互作用をコントロールし、層間の大きさを自由に変化、または電子伝導性やプロトン伝導性を向上させること等を検討する。今年度は、イオンとしてアミノ酸イオンを挿入し、水や他の極性有機溶媒によって、面間隔が変化することを見出した。


〔大 項 目〕反応・分離技術

〔研究題目〕二酸化炭素を利用する新規化学反応の研究
〔研究担当者〕斉藤 昌弘、佐々木義之、藤谷 忠博、富永 健一、
        高原  功、三村 直樹

〔研究内容〕CO2を一原料とする有機合成については、ルテニウム錯体触媒によるアセチレンを脱水剤とするオキサゾリドンの合成法及びオレフィンのヒドロホルミル化反応について検討した。CO2の水素化反応については、メタノール合成用触媒の新たな高性能化法を見出すとともに、合成ガスからのメタノール合成との比較を行った。さらに、CO2と水素によるフォーメイト種の生成機構を検討した結果、フォーメイトは表面に吸着した水素と気相の二酸化炭素とが直接反応するEley-Rideal機構で進行することを見出した。また、燃料電池自動車のメタノール改質用触媒の高性能化を試みた。


〔研究 題目〕選択的脱アルキルを基本とした重質油の軽質化の研究
〔研究担当者〕櫛山  暁、上桝  勇、小林  悟、佐藤 芳樹

〔研究内容〕石油系重質油の水素化分解用高分散型触媒の探索を行う。鉄系触媒に重点をおき、温和な反応条件で、オレフィンや芳香族構造の新たな生成を伴うことなく、脱アルキル反応主体の分解反応によってアスファルテン等の高分子量成分を軽質化することを目指す。本年度は、酸化鉄コロイド粒子を有機溶媒中に高分散させる手法を検討し、その触媒効果を調べた。硝酸鉄水溶液の加水分解で生成する酸化鉄ポリマーイオンを、ドデシルベンゼンスルホン酸等の陰イオン界面活性剤を用いて有機溶媒中に高分散で抽出できた。この抽出液を重質油に混合して水素化分解性能を調べた結果、反応系内で生成する触媒成分の硫化鉄が結晶成長を起こしにくく、油溶性のオクチル酸鉄等従来の鉄触媒と比較して1/4程度の触媒量でも同等の分解率、脱金属率が達成できた。


〔研究 題目〕超臨界二酸化炭素中での光錯体触媒反応
〔研究担当者〕堀  久男、小池 和英、佐々木義之

〔研究内容〕無毒で環境に対する危険性も少ない超臨界二酸化炭素を有機溶媒の代わりに反応媒体、さらには反応原料として使用できるような光錯体触媒系の開発を目的として超臨界二酸化炭素に溶解するレニウムビピリジン錯体を合成し、光励起挙動を解明した。さらにはこれを用いて世界ではじめて有機溶媒を使わずに二酸化炭素を反応媒体+原料として、一酸化炭素に還元する光化学反応を起こすことに成功した。


〔大 項 目〕産業基盤確立技術

〔研究 題目〕溶液中のクラスター構造の研究
〔研究担当者〕脇坂 昭弘、山本 佳孝、小原ひとみ

〔研究内容〕溶液中の分子は活発な熱運動をしているが、分子間の距離が短くしかも自由に配向を変えることができることから、微視的には不均一な構造すなわちクラスターが形成される。本研究では、クラスター構造を分子レベルで解明し、溶液中あるいはエアロゾル中の物理・化学的現象との関係を検討した。特に、溶液中における硝酸のH+イオンとNO−イオンの溶媒和クラスター構造を直接観測し、硝酸のイオン化のメカニズムを明らかにした。


〔研究 題目〕光を利用した微粒子のマイクロマニピュレーションの研究
〔研究担当者〕古屋仲茂樹、遠藤 茂寿

〔研究内容〕本研究では、主に10μm以下の固体微粒子を対象として、レーザー光圧を利用した微粒子分離技術(屈折率分離、粒子径分離、形状分離)の開発を目指した基礎的研究を行っている。不規則形状を有するアルミナ粉末を光圧分離して、供給粒子群と回収粒子群の粒子形状を解析したところ、回収側粒子に円形度の増大が認められ、光圧を利用した形状分離が原理的に可能であることが判明した。また、レーザーを高出力化した場合、光走査によって分離領域が拡大可能であることを示唆する結果を得た。


〔研究 題目〕空気結合超音波法を用いた材料の評価技術
〔研究担当者〕林  高弘

〔研究内容〕板状材料に超音波を照射するとラム波と呼ばれるさまざまな振動モードの弾性波が発生し、その弾性波挙動の振動周波数・材料物性依存性を利用して、平板材料の非破壊評価が行われている。本研究では、このラム波による非破壊検査技術を電子情報機器に用いられている板状素材のリサイクル性判定へ応用することを目標とした。波動理論および境界要素法シミュレーションによって素材中のラム波伝播機構を明らかにし、リサイクル性の判定への最適パラメータを決定した。また、水などのカップリング材を使用しない超音波発生・検出技術として空気結合超音波法を用い、基礎データの収集、さらにはリサイクル性評価への応用を検討した。


〔研究 題目〕水分子クラスターが誘起する化学的性質に関する研究
〔研究担当者〕脇坂 昭弘、山本 佳孝、小原ひとみ

〔研究内容〕代替有機溶媒系として、水溶液系を用いる可能性を検討するために、水ー有機溶媒混合系のミクロ構造をクラスターレベルで検討した。水−有機溶媒(メタノール、エタノール、1-プロパノール、DMSO、アセトニトリル)の二成分混合系のクラスター構造は、いずれの場合も有機溶媒が50vol%以下の低濃度で、有機溶媒分子どうしが会合してクラスターを形成しやすいことを見出した。これは、水が50vol%以上存在し、また、見かけ上均一に見える混合溶媒中においても、有機溶媒の雰囲気がミクロに形成されていることを示し、代替有機溶媒系としての可能性を示唆している。


〔大 項 目〕公害防止技術

〔研究 題目〕高速化学反応の計測法及びシミュレーションの研究
〔研究担当者〕土屋健太郎、近野 淳子、椎名 拡海

〔研究内容〕H原子とSO2の反応ならびにS原子とC2H4の反応については分子軌道法を用いてその複雑な反応機構を調べた。H原子との反応によってSO2がSOに還元される反応については、従来考えられてきた経路よりさらにエネルギー障壁の低い経路を見出すことが出来た。高温におけるS+C2H4の反応ではH原子が生成しないことを実験的に明らかにしてきたが、量子化学計算においてもこれらの実験結果を支持する結果が得られた。イオン電流とすす生成傾向の検討については煙点試験器を用いて煙点測定を行った。並行してFID検出器でイオン電流を測定し燃料性状との関係を検討した。また、4重極質量検出器による高感度化のための試料噴出孔と質量分析器のイオン化部を近づける改造を行い、時間分解的な測定を試みた。


〔研究 題目〕加圧燃焼装置における気−固反応の研究
〔研究担当者〕鈴木 善三、竹内 正雄、大柳 富夫

〔研究内容〕ガスタービン用触媒燃焼器や加圧流動層燃焼で重要となる固体表面近傍の気相反応(触媒燃焼、チャー上でのNOx生成分解反応等)について、その反応機構、反応速度を光学測定により明らかにして、低公害燃焼装置の設計指針を得る。合わせて、PLIF法の異相反応系への可能性を探る。
 個体壁近傍での化学種のPLIFによる測定との比較のため、チャーとNOの反応で生成するCO2をマイクロサンプリングにより測定し、数値解析結果と比較した。チャー表面近傍のCO2濃度は計算結果と良好に一致したが、反応速度定数は既往の報告値と比べ1オーダー大きい値を示した。これは、チャー粒子層表面だけでなく、粒子層内部も反応に関与しているためと考えられる。LIFによるNO測定では、蛍光強度の温度依存性を排除する方法について検討した。


〔研究 題目〕燃焼排ガスに含まれる超微粒子の回収
〔研究担当者〕幡野 博之、松田  聡、三島  寛

〔研究内容〕燃焼排ガスに含まれるサブミクロンの超微粒子を回収する方法を検討する。多成分混合系である燃焼排ガスにおける効果的な超微粒子回収法として遠心流動層を取り上げ、流動特性や回収効率に及ぼす各種操作因子の影響を実験的に検討する。また、粒子回収用媒体として光触媒超微粒子を用い、固体粒子に加えNOx、SOx等のガス状環境汚染物質の同時処理の検討を行う。
 本年度は、回転半径250mm、回転速度780rpmの遠心流動層を設計し製作した。遠心流動層の特性解析および超微粒子の回収性能を評価する指標としての低次酸化チタン超微粒子の作成を試みた。通常の酸化チタンが白色であるのに対し、今回作成した粒子は黒に近い粉末であるため、燃焼排ガス中の超微粒子模擬粒子として最適であると思われる。一方、遠心流動層への適用を前提とした光触媒粒子によるNOx等の環境汚染物質の処理特性は、循環流動層型反応器を使って大量処理ができることを実証した。


〔研究 題目〕有害物質処理触媒のキャラクタリゼーションの研究
〔研究担当者〕宮寺 達雄、浮須 祐二

〔研究内容〕有機ハロゲン分解触媒については、水素供与体である2−プロパノ−ルの挙動について調べた。Pd/C等の貴金属触媒上では、2−プロパノ−ルの脱水素反応が起こり水素ガスが生成するが、水酸化ナトリウムを少量添加すると、飛躍的に水素生成速度が上昇することがわかった。NOx還元触媒については、担持銀触媒の性能が担体によって著しく異なる原因を調べるために、XPS測定及びH2-TPR測定を行った。その結果、担体によって担持されている銀の酸化状態や表面濃度が異なることが分かった。また、同じAg/Al2O3触媒でもAgの担持量によって活性が異なるが、Agの酸化状態はAgの担持量によっても変化することが分かった。


〔研究 題目〕揮発性金属の微量成分分析法の研究
〔研究担当者〕大石 昭司

〔研究内容〕ダストの多元素定量分析の前処理法として、従来、よく使用されるフッ酸を用いた湿式分解法とマイクロ波を用いた分解法について検討した。フッ酸を用いた前処理ではCd、Pb等が揮散する。米国EPAで推奨する3052法のマイクロ波処理法でもフッ酸を用いた場合これらの元素は揮散した。一方、硝酸分解ではこれらの元素は良好な回収率を得た。ストリッピング測定では、ICP発光分析では検出出来なかったPbが分析され、ICP−MSとの比較でもCu、Pbが良く一致した結果を得た。試料酸濃度が希薄な場合、スペクトルの強度変化とシフトが著しかったが、酸濃度1N(規定)以上では強度変化とシフトが少ない安定した測定が可能となった。


〔研究 題目〕非平衡プラズマによるHAPsの分解反応の研究
〔研究担当者〕二タ村 森、永長 久寛

〔研究内容〕フッ素含有HAPsのうち最も反応性の低いテトラフルオロメタン(CF4)の分解反応について検討した。プラズマ反応器としては強誘電体充填型反応器(FPB)、無声放電型反応器(SDP)、パルスコロナ型反応器(PCR)を用いた。FPBとSDPを用いて1000ppmのCF4を分解した際の最高分解率は約50%であったが、PCRを用いた場合には20%にとどまった。CF4の分解反応ではフッ素等の分解ラジカルによる反応加速効果が小さいため、ガス滞留時間の影響が顕著に表れることがわかった。CF4分解率は初濃度の影響を受け、1000ppmから200ppmへCF4初濃度を低下させた場合には、FPB、SDPいずれの反応器でも約15%程度分解率が向上した。バックグラウンドガス中の酸素濃度や加湿水はCF4分解率に対して負の効果を示した。CF4を高効率分解するためには、投入電力密度をさらに増大させる必要がある。


〔研究 題目〕カルボニル化合物クラスター及びハロゲンカルボニル化合物の電子状態の研究
〔研究担当者〕瀬戸口 修

〔研究内容〕1) 多配置参照波動関数に基づく摂動論を用いHO2とOHの反応機構を検討した。1重項ポテンシャルエネルギー曲面(PES)での会合ー解離反応は高い反応障壁をもち高温以外での反応は不利であるのに対し、3重項PESで水素引き抜き反応は有利に進行することを定量化できた。
 2) CH3OとO2の反応はトリオキシラジカルCH3O3を経由する分子内協奏反応が水素原子直接引き抜き反応より有利である。本反応の活性化エネルギーを定量的に見積もるためいくつかの理論的手法の評価を行い、この結果実験値と整合性のあるデータを得ることができた。


〔研究 題目〕多環芳香族炭化水素の光分解の研究
〔研究担当者〕松沢 貞夫

〔研究内容〕ディーゼル排出粒子中に含まれる多環芳香族炭化水素(PAH)の地表への沈着後の挙動を明らかにするため、光分解に与える土壌混合の影響と雨水の影響を調べた。その結果、粒子が土壌と混合したり希薄硝酸および硫酸水溶液(雨水のモデル)による洗浄作用を受けたとしても、光分解率にはほとんど変化のないことを明らかにした。また、土壌、土壌成分、酸化チタンなどに吸着したPAHの光分解率および分解生成物についても調べ、土壌表面での分解が緩やかであること、カオリナイトが比較的高い分解活性を示すこと、二酸化チタンが極めて高い分解活性を示し通常とは異なる生成物を与えること、等の情報を得た。フェナントレン類については、分解生成物の二次光分解に関する情報も得た。


〔研究 題目〕凝縮生成粒子の物性の基礎的研究
〔研究担当者〕小暮 信之、白波瀬雅明、吉山 秀典

〔研究内容〕実際の燃焼排ガスの温度降下を任意に設定可能な試験用凝縮粒子発生システムにより、重油を燃焼した場合の凝縮粒子の物性について検討した。温度降下に伴う排ガス中のガス成分(O2、CO、NO、NO2、SO2、水分)の変化はほとんどみられなかったが、SO2、水分などが凝縮を起こす100℃前後を境にして、高温側の粒子(ダスト)に比べて濃度が増加し、色、臭い、形状、大きさなどに顕著な差が認められた。また、粒子の化学成分では、水溶性成分SO42-、炭素状成分Cel(元素状成分)の割合が高くなり、凝縮成分による粒子性状の変化が示された。


〔研究 題目〕内装表面の挙動の研究
〔研究担当者〕若林 孟茂

〔研究内容〕代表的な室内空気汚染源であるホルムアルデヒドと揮発性有機化合物の放散、変遷が室内環境によってどの様な影響を受けるかを調べることを目的とした研究である。前年度に引続いて合板からの放散量と室内環境との関係を調べた結果、単独では影響を及ぼさない二酸化窒素がオゾン共存下では見かけの放散量を減少させる効果を示す事が認められた。これは二酸化窒素とオゾンとの反応によって生成される三酸化窒素が放散物質と反応した為と考えられる。この反応の速度論的知見を得るべく、二酸化窒素とオゾン共存下でトルエン、ヘキサン、キシレン、デカン等の各種炭化水素の三酸化窒素による水素引き抜きに対する反応性を調べた。


〔研究 題目〕高い環境浄化能を有する光触媒の研究
〔研究担当者〕永長 久寛、二タ村 森、指宿 尭嗣

〔研究内容〕酸化チタンおよび金属担持酸化チタンの光酸化力と生成する活性酸素種をモデル反応および分光学的な手法により検討した。ベンゼンの光分解反応では、乾燥空気中の反応で酸化チタンの表面水酸基が消失し、水蒸気存在下の光照射でこれらが再生することから、表面水酸基より生成したヒドロキシルラジカルが活性酸素種であることが推定された。同反応では遷移金属を酸化チタンに添加してもベンゼン分解速度は変わらなかった。一方、COの光酸化反応では酸化チタンに白金を添加するとCO2の生成速度が著しく向上した。電子スピン共鳴分光法から、光照射により安定化したO-、O3-ラジカルが生成し、これらがCOを酸化する活性種であることを明らかにした。


〔研究 題目〕気相中揮発性有機化合物測定法の標準化
〔研究担当者〕田中 敏之

〔研究内容〕室内空気、環境大気、作業環境中の揮発性有機化合物の測定法の基礎条件について詳細な検討を行い、国内規格及び国際規格としての確立を図るため、室内空気中及びチャンバー試験のためのVOCs測定法として加熱脱着法及びキャニスター法で濃縮分析のルーチン化を行い、テスト用スタンダードガスによる相関テストを行った。市販の標準ガスを希釈したテスト試料ガスを用い、Tenax捕集管捕集・加熱脱着・FID分析による方法とcanister捕集・液体窒素濃縮による方法との相関テストを行った。窒素バランスのテスト用試料ガスでは両者の相関は良好であったが、屋外環境における同一場所での同時サンプリングでは相関が悪く、canisterでのwhole air samplingの方法では、保存中に変化による減少と考えられる。


〔研究 題目〕超臨界二酸化炭素抽出における化学物質の反応性の研究
〔研究担当者〕中井 敏博、佐藤 芳夫、高橋 信行、加藤 義重

〔研究内容〕高沸点で抽出性の小さい化学物質により汚染された土壌から、これらを分析前処理として超臨界二酸化炭素で抽出するとき、二次汚染源となるエントレーナ(有機溶剤)併用によらず、高温で抽出する方法の可能性について検討した。このような化学物質として、昨年度のシマジン(CAT)に引き続いて農薬のベンゼンヘキサクロライド(BHC)、クロロタロニル(TPN)及びチウラムを対象とし、構造変化が起こらない温度、圧力領域をマップ表示することにより最適操作条件を明らかにした。
 試薬直接抽出と土壌からの抽出では構造変化が起こる領域が異なることが分かった。結論として、エントレーナを使わない本方法が充分可能であることが分かった。


〔研究 題目〕分析前処理法の自動化・マイクロ化の研究
〔研究担当者〕宮崎  章、冨永  衛、木村  明、田尾 博明、
        今川  隆、山下 信義、長縄 竜一、中里 哲也

〔研究内容〕分析の普及と信頼性向上のため、従来から手分析で行われていた試料の前処理操作の簡素化・自動化・マイクロ化に関する基礎的な研究を行う。このため、試料の分解、抽出、分離等のための新しい基本操作ユニットの開発、及び簡素化に必要な化学反応(誘導体化)の研究を行う。本年度は、NaBEt4による誘導体化法を底質や工業製品中の有機スズ化合物に拡大し、従来困難であったフェニル系、モノブチル系も含めて、これらの試料中の有機スズ化合物の分析法を確立した。また、光反応・分解法では、昨年度試作した外部照射型の光反応装置を用いて、生体試料を従来より少量の酸や過酸化水素で短時間に分解できる条件を明らかにした。更に反応効率を向上させるため反応管内蔵型の光反応装置を試作した。


〔研究 題目〕有害物質を含む排水中窒素成分の新規生物学的除去法の研究
〔研究担当者〕諏訪 裕一、益永 秀樹、山岸 昂夫、松井 安俊、
        山口 文男、竹内 理恵、木村 信忠

〔研究内容〕生物学的窒素除去技術での律速段階である、アンモニア酸化プロセスへの化学物質による阻害を回避し、さらに、窒素成分を窒素ガスに無害化するための生物エネルギー源として有害物質を利用する可能性を検討した。高濃度のフェノールとアンモニアを含む模擬廃水を連続式活性汚泥変法により処理した。その結果、アンモニア酸化細菌の強力な阻害物質であるフェノールの存在下でも、硝化が定常的に起き、フェノールを生物エネルギー源とする脱窒が起きた。その結果を速度論的に解析した。


〔研究 題目〕腐植物質による有害化学物質の除去・分解反応に関する研究
〔研究担当者〕辰巳 憲司、和田 愼二、市川 廣保、
        飯村 洋介、福嶋 正巳、森本 研吾

〔研究内容〕腐植物質は、落葉や古木を由来とする低分子有機酸が縮重合して生成した高分子化合物であり、土壌に広く分布していることが知られている。本研究の目的は、有害化学物質の分解・除去に及ぼす腐植物質の機能を明らかにすることである。まず、光フェントン反応によるアニリンおよびペンタクロロフェノール等有害化学物質の分解が腐植酸の共存により促進されることを明らかにし、鉄(III)と腐植酸の錯形成が促進に寄与していることを速度論的に解明した。一方、酸化酵素によるアニリンの分解では、反応後アニリンが腐植物質と共有結合した状態で取り込まれた形態で存在することを熱分解ガスクロマトグラフィーおよび核磁気共鳴分光法により解明した。


〔研究 題目〕沿岸域における低分子量有機物の文画及び変換過程に関する研究
〔研究担当者〕寒川  強、太田 一之

〔研究内容〕低分子量有機物の代表として単糖〜オリゴ糖を選びいろいろな濃縮操作の検討をした。糖の水に対する親和性の強さから、適当な濃縮操作を見いだすことができなかった。これと並行してフェリシアン化カリウムを用いた糖の分画定量法について検討した。ダイナミックレンジが広く妨害の少ない定量法であることが明らかとなった。



〔研究 題目〕統合化環境モデルの基礎的研究
〔研究担当者〕近藤 裕昭、吉門  洋、下形 茂雄、
        菅原  清、三枝 信子

〔研究内容〕環境問題はますます複雑になり、コンピュータモデルにおいても一つの大規模なソフトで対応するのには限界がある。このため、ある程度独立した機能を持つサブプログラムを分散オブジェクト環境上に展開することが考えられる。従来手法の問題点として、プログラムの逐次実行、全プログラムの一括作動と理解、プログラムの組み合わせに対する中間ファイルの作成、部分的修正の全体への影響などがあった。これに対し、分散オブジェクトを利用するとこれらの問題点をクリアすることができる。本年度はRPCを用いて同一マシン上で模擬的に分散オブジェクト処理を行った。


〔研究 題目〕バックグラウンド大気中における微量成分の時空間変動と大気輸送交換過程の研究
〔研究担当者〕村山 昌平、兼保 直樹、近藤 裕昭

〔研究内容〕本研究では、バックグラウンド大気中の微量成分(エアロゾル、微量気体)の変動の実態を把握し、その要因を明らかにすることを目的とする。今年度は、白嶺丸等を用いて洋上で採取された微量成分測定用試料の分析を継続して行い、データの解析を進めた。また、小笠原父島における放射連続観測及び同地で採取された大気中エアロゾルサンプルの分析を開始した。一方、カナダAtmospheric Environment Serviceの研究者と共同で、北太平洋海域における大気中CO濃度の変動要因について解析を行い、CO濃度の季節変化の緯度及び経度による違いが、ユーラシア及び北米大陸起源の大気と洋上起源大気の輸送の影響の度合いの違いに起因することが示唆された。


〔研究 題目〕堆積物表層における有機物の無機化速度の推定方法の研究
〔研究担当者〕左山 幹雄

〔研究内容〕沿岸域の堆積物表層における有機物の無機化速度を推定する方法について検討を行い、有機物の無機化速度と水ー堆積物界面近傍の物理化学的環境要因との関連について解析する。有機物の無機化速度は、界面近傍の酸素濃度の微細分布を測定し、その濃度分布を鉛直1次元拡散方程式を用いて解析することにより推定する。平成11年度は、界面近傍の酸素濃度の微細分布データを解析するための一連の方法を確立し、その手法を東京湾・小網代湾・三河湾・広島湾において取得したデータに摘要し、海域及び季節による変動に関する情報を得た。


〔研究 題目〕沿岸環境の環境影響評価手法の研究
〔研究担当者〕堀口 文男、石川 公敏

〔研究内容〕海域の「地域性、生態系、生物」を考慮した、環境影響評価のためのスコ−ピング方法のシナリオに従って実例の解析を行い、これまでの東京湾のベントスとプランクトンのモニタリングデ−タを用いて「測点ごとの種の組成」から「地域性を考慮した生態系と種の関係」を評価する方法をまとめた。数値モデルの影響予測のための使い方に関して(一昨年から外部研究者と共同開発)、流れ場の変化が生物に与える環境影響予測の実例計算を大阪湾のヨシエビを例とし行い、三週間のヨシエビ浮游期の生理・生態を考慮した行動を含むモデルと流れ場の変化がその分布にどのような影響を及ぼすかを推測し、生態系の評価方法の考えとしてまとめた。


〔研究 題目〕長距離輸送に伴う大気汚染物質の変質とそれが放射収支に与える影響の研究
〔研究担当者〕古賀 聖治、今須 良一、前田 高尚

〔研究内容〕大気汚染物質は、降水中の化学組成を変質させるだけでなく、エアロゾル粒子数の増加により、直接的・間接的に地球の放射収支を変化させる。清浄大気と汚染大気において、エアロゾル粒子の数濃度および化学組成を測定し、エアロゾル粒子による汚染大気の光学特性を明らかにすることがこの研究の目的である。
 小笠原父島において取得した粒径別エアロゾル粒子数濃度(直径0.3μm以上の5段階)のデータを用いて、冬季と夏季における個数濃度と粒径分布の特徴を調べた。冬季の個数濃度は夏季よりも10倍程度多く、特に前線通過後に数濃度が急増することが観測された。粒径分布の解析から、粒径分布は2つの対数正規分布の和として表現できることがわかる。それによると、平均半径(r)0.1μm、標準偏差(σ)1.7を持つモードが常に存在し、冬季・春季にはr=0.2μm、σ=2.5、夏季にはr=0.5μm、σ=1.7を持つモードがそれに重なる。エアロゾル粒子による光学的厚さは、春季に最大になる季節変動を示しているが、地上のエアロゾル粒子数濃度には、冬季と春季で明瞭な差異は認められなかった。


〔研究 題目〕北太平洋における人間活動起源の二酸化炭素の挙動に関する研究
〔研究担当者〕水野 光一、原田  晃、辻  正明、
        青木 繁明、渡辺  豊、鈴村 昌宏

〔研究内容〕北太平洋中層における流動場を把握しておくことは、人間活動起源の二酸化炭素のみならず自然の炭素の挙動にとっても重要であるが、平均流が数cmと微弱である上に変動成分が卓越しており直接的な方法による計測は困難である。
 当研究では過去に蓄積された温度・塩分などの観測データを基に簡単な力学的仮定を置いたモデルによって平均的な流れを逆問題として推定する方法を導入し、北太平洋西部における流れの推算を行った。今後データの質等の吟味は必要であるがほぼ妥当な流速場の再現を行うことができた。


〔研究 題目〕陸起源物質の沿岸海域における移行過程の研究
〔研究担当者〕鷲見 栄一、松尾  信、森本 研吾

〔研究内容〕多摩川の汽水域において、7月と11月に現地調査を行った。調査項目は、塩分、水温、濁度、懸濁態粒子の粒径分布である。淡水と海水が出会う所で、河川水にはなかった約7μmに体積濃度のピークが現れた。その下流の塩分躍層には、約7μmと約80μmに体積濃度のピークがあり、深さ方向に増大する傾向が見られた。前者はフロッキュレーション、後者はアグリゲイションによって形成されたと思われる。
 河川域および沿岸域において採取した試水中の有機物質の長期間にわたる生分解性状について検討した。その結果、POC、DOC成分の、それぞれの易、難分解性成分は各1次反応式の組み合わせによりとらまえることが出来た。それにより現場における季節的な有機成分の変化を明らかにした。


〔研究 題目〕深海底生態系の長期連続モニタリング技術の基礎研究
〔研究担当者〕山崎 哲生、斎藤 隆之

〔研究内容〕海底は表層に次いで生物相に富むが、表層ほど外乱の影響を直接的には受けない。特に、深海底は環境変動の影響が急速には進行しないため、長期間にわたり、継続的にモニタリングを行うには好都合の場所であると考えられる。本研究は、深海底表面及び堆積層中に生息する小型底棲動物の生息密度や活動度の変動を、定量的かつ長期に連続計測する手法を開発することを目的とする。
 本年度は、この手法に必要となる深海用DOセンサを選定するとともに、原位置観測システム設計に必要な海底堆積層の遮蔽効果、上記センサによる溶存酸素量の測定限界などを室内水槽実験によって検証した。


〔研究 題目〕機能性凝集剤 Gellannic の高機能化とスラッジから金属の分離回収
〔研究担当者〕辰巳 憲司、和田 愼二、市川 廣保、福嶋 正己、
         小林 幹男、田中 幹也、六川 暢了、小山 和也、増田  薫

〔研究内容〕開発した機能性凝集剤Gellannicは、ほとんどの重金属を少ないスラッジ量で規制値以下まで処理できるが、規制が厳しいHgやPbを一段で規制値以下に処理することができないことが判明した。そこで、それを可能にするための高機能化を目指し、Gellannicの主要成分であるキトサンの化学修飾を試みた。その結果、キトサンにグラフト重合でポリエチレンイミンを導入することにより重金属捕集力を向上できることを明らかにした。一方、スラッジから金属の分離回収を目指し、無電解ニッケルめっき廃液の新たな回収・再利用法を提案し、その実用性を企業と共同でコスト面から検討している。これまでに、スラッジからニッケルの回収の目処が立ち、現在、ニッケル回収後のスラッジの処理について検討している。


〔大 項 目〕計測・標準技術

〔研究 題目〕プラズマ−微粒子プロセスの計測・モデル化・利用の基礎的研究
〔研究担当者〕菊川 伸行、菅澤 正己

〔研究内容〕プラズマ計測については、分光計測と流れ計算結果との詳細比較から、任意性の少ない分光学的温度測定手法を開発した。また、熱プラズマによりY-Fe-O系の新しい強磁性化合物(new phase)を合成し、原料中のYをイオン半径の近い他のレアアース金属で置換してもnew phaseを合成し得ること、及びその格子定数のイオン半径依存性、並びにY-Fe-O系new phaseを主成分とする生成物の磁気的特性を明らかにした。さらに、重金属含有粉体試料のIn-Flightプラズマ処理における重金属の濃縮・除去挙動をほぼ明らかにした。


〔研究 題目〕騒音計測・評価へ及ぼす低周波成分の影響
〔研究担当者〕高橋 保盛、小山保 順、今泉 博之、國松  直

〔研究内容〕騒音計測例のスペクトル分布から、風雑音が評価値に及ぼす影響を検討した。風雑音による低周波成分の影響を調べるための風除装置を製作するために、風除スクリーン材を試験し、目的の100Hz以下の減衰量の低いものを検討した。


〔大 項 目〕宇宙開発関連技術

〔研究 題目〕衛星画像と気象環境による植生分類の研究
〔研究担当者〕蒲生  稔、田口 彰一、林  正康

〔研究内容〕気候は年乾燥指数で代表させ、植生は年最大正規化植生指数で代表させて、両者の2次元面での分布から、乾燥地域の分類を試みた。乾燥域では乾燥指数と植生指数の間に直線関係が認められる。直線関係から離れた分布域は、乾燥の割には植生のよい地域、湿潤なわりには植生の悪い地域に分類できる。前者は、灌漑地域やオアシスであり、後者は土壌劣化地域の可能性がある。後者は、国連による土壌劣化地域分布と比較すると、かなりの地域で一致する。また、直線関係を回帰直線で表わすと、それからの距離が大きい分布ほど、土壌劣化は大きいと考えられるが、その距離を標準誤差を基準に表わすと、定量的に土壌劣化指数が定義できる。それにより、各地域毎の土壌劣化の程度を定量的に表現した。


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National Institute for Resources and Environment