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NIREニュ−ス

1995年8月

光エネルギーによる大気環境浄化

温暖化物質循環制御部 光利用研究室 竹内浩士

1.窒素酸化物による地域環境問題
 地球温暖化などの地球環境問題が社会の関心を集めて以来,従来型の地域環境問題(いわゆる公害)は霞んでしまったかの感があるが,実際には未解決の問題が多く残されている。 大気分野では窒素酸化物(NOx)がその一つであり,各方面からの多大の努力にもかかわらず,特に大都市域で環境基準(NO2について0.04〜0.06ppm)が達成されていない。 NOxは呼吸器疾患など直接,健康に影響を及ぼすばかりでなく,光化学スモッグや酸性雨の原因物質でもある。

 NOx汚染に対して考えられる対策を表1に示す。行政的対応は別として,われわれが関与しうる工学的方法については,発生源からの排出抑制が基本である。 NOxの場合には特に自動車等の移動発生源の比率が高いが,今後はコジェネレーションなどの推進により,比較的小規模な固定発生源対策も重要となろう。 当所においても高性能脱硝触媒の研究開発が鋭意進められているが,負荷変動など運転条件の厳しい移動発生源については容易ではない。
 それでは発生源だけでなく,汚染物質が排出されたあとの環境側での対策はないのだろうか。水質汚濁防止の分野では,湖沼・河川水の化学的・生物的浄化が実際に検討されている。 しかし,大気はまさにつかみどころがなく,汚染物質も拡散によって速やかに希釈されてしまう。したがって,表1でも環境側での対策技術は少なく,実現可能性は小さいと考えられてきた。
表1 窒素酸化物低減の対策a
対策の種類 固定発生源 移動発生源 環境側での対策
工学的対策 低NOx燃焼装置
・二段燃焼
・低NOxバーナー
排煙脱硝
トンネル排気等低濃度脱硝
燃焼効率の改善
触媒燃焼
燃料電池
燃料の転換
純酸素燃焼
燃焼方法の改善
・排ガス再循環
・希薄燃焼
排ガス処理の高度化
・NOx分解触媒
原動機の変更
・ガスタービン
・スターリングエンジン
エネルギー源の変更
・電気自動車
・天然ガス
・メタノール
・水素
・ハイブリッドエンジン
植物による吸収
・耐NOx植物の利用
・NOx利用植物の開発
土壌による吸収
吸着・吸収剤による除去
光触媒による変換・除去
(本研究)
行政的・
社会システム的対策
排出・立地規制
総量規制地域の指定
低公害設備への転換促進
(補助,低利融資等)
排出規制/通行規制
低公害車種への代替
輸送効率向上・物流体系見直し
渋滞緩和
・交通容量の拡大
・交通管制の高度化
鉄道等大量輸送機関への回帰
公共交通機関の利用促進
NOx濃度予報
自然エネルギー利用促進
首都機能の分散
a現在検討中のものを含む
2.窒素酸化物の化学
 NOxは主として燃焼に伴って発生する。燃料中に含まれる窒素分もNOxになるが,高温の燃焼過程で空気中の窒素が酸化されてNOになる割合が大きい。

N2+O2 → 2NO        (1)

この反応は高温ほど右にかたよっているため,発生源においてNOxの生成を抑制するには燃焼時の温度を引き下げたり,燃焼ガスの高温域での滞留時間を短くすることが有効である。
 NOxにはN2O,NO,NO2,N2O3,N2O4,N2O5のように種々の化学種が存在するが,高温ではNOのみ(条件によってはN2Oも)が安定である。したがって,燃焼発生源から排出されるNOxはほとんどNOである。 排出後常温まで冷却されると熱力学的にNOは存在し得ないのであるが,いったん生成したNOはかなり安定である。
 大気汚染物質の主な除去過程には,大気中の化学反応(主として酸化反応)と粒子化や降水による沈降除去がある。NOはパーセントレベルであれば空気中の酸素によって酸化されて

2NO+O2 → 2NO2      (2)


みるみるうちに赤褐色のNO2に変化するのを観察できるが,ppmレベルでは非常に遅く,何日もかかる(ただし,NOxと炭化水素が共存する光化学スモッグ条件下では数時間で酸化される)。
 NOやNO2は水に非常に溶け込みにくい。実際に大気汚染物質を測定していて雨が降ってくると,水に溶けやすいSO2の濃度は急激に低下するが,NOx濃度は変化しない。結局,NOxは光化学反応で生成するOHラジカルなどと反応することによって

NO2+OH → HNO3      (3)


のように,(酸性雨の原因となるのではあるが)除去されやすいかたちとなる。
 これまで大気中の化学反応をみてきたが,発生したNOxを変換・除去するには次の反応が基本となる。

2NOx→N2+xO2        (4)
2NOx+Red→N2+Ox     (5)
NOx+Ox→HNO3+Red    (6)


ここで,Red及びOxはそれぞれ,酸化剤及び還元剤を表す。(4)はNOxの分解反応であるが,酸素が存在する条件で有効な方法は知られていない。(5)は還元反応で,触媒存在下でアンモニアを作用させる選択接触還元法は既に排煙脱硝に利用されている。 また,炭化水素やアルコール類を還元剤とする選択接触還元法も検討されている。触媒を用いる場合にはそれが機能するための温度(熱)が必要である。(6)はオゾン(O3)などによる酸化が検討されている。
3.光触媒によるNOxの除去
 われわれは大気中の化学反応を調べる過程で,粉じん等の粒子状物質に含まれるいくつかの金属酸化物が気相のNOxを減少させることを見いだし,大気浄化への応用を検討してきた。

 これらの金属酸化物では,あるエネルギー(振動数)以上の光をうけると内部の電子が励起されて自由に動けるようになるとともに,電子が抜けたあとは正孔と呼ばれる正の電荷を帯びた粒子となる。 金属酸化物は通常,電気を通さないが,光照射でこのような電荷分離をおこすものは電気を導くようになるため,(光)半導体と呼ばれている。電子と正孔はそのままではいずれ結びついて消滅するが,他の物質が存在するとその間で電子のやりとりが生じる。 電子を受け取ることは還元,電子を放出することは酸化であるから,これら半導体は光によって酸化還元反応を制御する物質,すなわち光触媒として利用できる。
 NOx等を除去できる金属酸化物には二酸化チタン(TiO2),酸化亜鉛などがあるが,除去作用の強さと化学的な安定性などからTiO2を選択した。更に,補助成分として疎水性の吸着剤である活性炭その他を加えてNOx除去用の光触媒とした。
 本光触媒によるNOx除去の仕組みは図1のように考えられる。まず,光照射によって励起された電子と空気中の酸素が結びつき,必ずしも単純な反応ではないが,02-,0-,OHといった活性な酸素種がTiO2表面に生成する(水素は空気中の水分に由来する)。 TiO2に吸着されたNOはこれら活性酸素種によって酸化され,NO2を経て最終的には硝酸として保持される。TiO2だけではNO2の状態で一部脱離するが,活性炭はこの脱離を効果的に抑制した。
 TiO2にはいくつかの異なる結晶型があるが,アナターゼ型の光触媒作用が高い。また,表面積が大きい(すなわち,粒径の小さい)TiO2ほど除去効果は高かった。これには,NOxを多く吸着できることと,生成する硝酸を多く保持できることの両面に効いていると考えられる。 現在では平均一次粒子径7.5μm,比表面積 320m2/gのTiO2を使用している。
 光触媒反応は,熱化学反応のように反応を促進させるために反応系全体を加熱する必要がなく,通常,常温で進行するという特徴がある。汚染物質の濃度はせいぜいppmレベルであるため,これを処理するのに必要な活性酸素,そのもととなる光の量も少なくて済むであろう。 アナターゼ型TiO2は390nm以下の紫外光で励起される。この光は太陽光中に4〜5%程度しか含まれていないが,汚染物質の処理には十分と予測される。

4.光触媒の固定化
 これまで述べたように,用いる光触媒は粒子であり,実用的な大気浄化材料とするには他の物質に固定する必要がある。ここで問題となるのは,TiO2の光触媒作用が強力なため,固定化のための物質(バインダー)も長期的には分解されて,剥離・脱落が起こることである。 TiO2は白色顔料として塗料に使用されているが,光触媒作用があれば短期間に塗膜を劣化させる。これは塗膜の白亜化と呼ばれ,白亜化防止がかつてはTiO2製造会社の大きな研究課題であった(現在ではTiO2表面に酸化アルミニウムなどを被覆することで解決している)。

 もう一つの問題点は,せっかく表面積の大きなTiO2を使用してもバインダーによって表面が覆われては除去性能が低下してしまうことである。
 また,光触媒は文字どおり光が当たってはじめて機能するわけであるから,従来の触媒のようにハニカム構造などとして被処理空気との接触効率を高めることができない。したがって,平面状で面積を大きくとることになる。
 これらの問題の解決策としてふっ素樹脂による固定化を考案した。ふっ素樹脂は化学的に最も安定な高分子であり,しかも,水蒸気を透過する繊維としても知られるように,多孔質に加工できる。 以下の実験では0.3μmのふっ素樹脂微粒子に重量で40%の光触媒を混合・圧延し,厚さ約0.5mmのシート状としたものを用いたが,ふっ素樹脂は光触媒の性能をさほど低下させることなく,長期間安定に光触媒を保持することがわかった。 このシート状光触媒は活性炭を含むために灰色の色調を示すが,ゴム状の柔軟な物質である。
5.シート状光触媒の性能
 このようにして成形した光触媒の性能試験には図2に示すような実験装置を用いた。10cm角に裁断したシートをパイレックスガラス製の浅い円筒状容器(2個)に入れ,一定濃度の模擬汚染空気を連続的に流すとともに,上方の光化学蛍光灯(10W×3本)よりほぼA領域紫外線に相当する300〜400nmの光を照射した。 紫外線強度(365nm)は照射面で約0.5mW/cm2であった。化学発光式NOx計などを用いて汚染物質濃度の減少を測定した。
 実験結果の一例を図3に示す。1ppmのNOを含む空気を連続的にシートに接触させた場合,光を当てなくとも反応容器出口のNO濃度は低下したが,これは主として活性炭の吸着作用によるものと考えられ,次第にNO濃度は上昇してくる。 次に紫外光を照射すると,NO濃度は再び大きく減少し,その状態が長時間続いた。NO2も少し生成してくるが,5日後でもNOxとしての除去率は60%以上であった。

 このシートはNOだけでなく,NO2とSO2に対しても有効であった。図4に示すように,環境基準レベル(〜0.05ppm)から数ppmの範囲までこれらの汚染物質を効率よく除去できることがわかる。 図5には光強度の影響を示す。実験で変化させた範囲では除去率の光強度依存性は小さく,0.1mW/cm2という屋外では冬の曇りの日の太陽光程度の紫外線強度でも十分に機能することが示された。
 汚染物質除去を長期間連続して行うと除去率はしだいに低下してくるが,これは光触媒表面に生成物である硝酸などが蓄積し,除去作用を妨害するためと考えられる。この点は通常の触媒反応と異なるところで,本光触媒の不利な点であるが,硝酸は水に溶けやすいので水洗によって除去することができる。
 実験ではシートを1時間程度,精製水に浸漬することでNO除去量の約60%に相当する硝酸が回収された。希薄なアルカリ溶液を用いると回収率は約80%に向上したが,精製水の場合でも洗浄後,汚染物質除去活性はほぼ完全に回復するので,通常の水洗で十分と考えられた。 なお,この除去−水洗のサイクルを数十回線り返しても,除去活性や表面の状態に大きな変化はなかった。


6.太陽光による大気環境浄化
 以上のことから,本浄化材料を屋外で使用した場合,図6に示すように,日中は太陽光で汚染物質を固定するとともに,夜間でも吸着作用によりある程度の除去作用を有するものと考えられる。 更に,除去した汚染物質は降水によって洗い流されるので,本光触媒は自然のエネルギーだけで機能する,いわばパッシブな大気環境浄化材料といえる。

 わが国では平均で年間1500 mmの降水があるので,浄化材料の能力は適度に維持されよう。また,洗い出される硝酸の量も平均的には20〜30mg/lと計算され,腐食や流域の富栄養化が問題になるほどではないが,必要に応じて流路に石灰などを置くことによって中和することができる。 ただし,NOx汚染が深刻な大都市域では,この浄化材料のための専用スペースはないと考えられ,図7に示すような既存の建造物の表面を利用することになろう。このような目的には,ふっ素樹脂シートでは機械的強度が不十分の場合もあり,現在,外壁材などへの複合化,塗料化などを検討している。

7.屋外性能評価
 実験室における検討に引き続いて,太陽光の降り注ぐ屋外で実際に性能を調べる必要がある。当初,つくばの研究所内で小規模に大気暴露実験を行っていたがNOxの平均濃度は0.01ppm以下であり,性能を明らかにすることはできなかった。 このため,東京都内の交通の激しい自動車道路(6車線,日平均交通量約12万台)沿いを選び,評価実験を行った。

 実験に用いた機材の構成を図8に示す。シート状光触媒を0.6×1.0の塩化ビニル樹脂製パネルに貼り,道路脇にほぼ南向きに置いた(図9)。
一部のパネルにはパイレックスガラス製の窓板を付け,空気ポンプで大気を吸引(15〜60 l/min)することにより,接触空気量に関する情報を得た。気象観測機器も併せて設置した。シートは適宜回収・水洗し,硝酸イオン等を測定した。

 実験地点では走行車両の影響により,パネルには常に南西より 2m/s程度の風が当たっていた。汚染物質濃度と交通量との間には概ね相関が認められ,交通量の多い日中に汚染物質濃度も高くなっていた。昨年2月に行った試験結果の一例を図10に示す。図の横軸は1日の時刻であり,変動の大きな実線は実験地点の大気中のNOx濃度である。 正午を中心とした釣鐘型の曲線は全天A領域紫外線強度である。冬の日でも本浄化材料の活性化に十分な紫外線が得られることがわかる。
 これに対し,2本の破線は窓板付パネルを通ってきた空気中のNOx濃度を示しており,午前7時から午後5時まで大きく低下していることがわかる。ただし,日の当たらない夜間は残念ながらほとんど除去されていない。

 除去率は空気流量にも依存するが,日中で75〜90%,24時間平均でも50〜60%であった。これは,NOx排出量すなわち,交通量分布も日中を中心とした人間の活動時間に大きいためである。
 同じ日のSO2濃度変化を図11に示す。NOx濃度より1桁小さいが,NOx同様,日中よく除去されているのがわかる。特筆すべきことは,SO2の場合,夜間でもパネル通過空気と周囲空気とでSO2濃度に有意な差があり,SO2がある程度除去されていることである。したがって,24時間平均除去率も75〜80%に達した。
 炭化水素計の測定値も平均で20%程度の濃度低下を示した。過去に実施した大気化学の研究から,除去可能な炭化水素(揮発性有機化合物)は,低級オレフイン,アルデヒド,アルコール類と推定される。

 十分なデータは得られていないため暫定値ではあるが,大気開放パネルと窓板付パネルでの硝酸回収量の比較から,接触空気量は100 l/min/m2程度であり,一日当たりの平均NOx除去量は3.1 mmol/m2であった。 実験室で求めた最大除去量(除去率が半減する除去量)はシート1m2当たり約20mmolであるから,この浄化材料で少なくとも1週間の連続除去が可能である。

 この数値を図7に示すようなストリートキャニオンに当てはめて考えると(キャニオンに面したビル外壁の窓以外の部分に浄化材料を取り付け,代表的な交通量,NOx排出量を仮定して計算),キャニオン内空気中のNOxの約20%を除去できると推定された。 2割も取れるという見方があれば,たかが2割という意見もあろう。ただ,実際に交通量削減,排出規制等によって2割削減するのは容易ではないし,大気濃度を2割低減できれば環境基準内に収まる場合が多いのも事実である。 なお,その後,組成を最適化したシート状光触媒の実験室での除去性能は約3倍に改善されている。この材料を使えば屋外の浄化性能も大きく向上することが期待される。
 なお,道路沿道での実験結果は実験室データから予想されたものよりやや劣っていた。この原因として,
  1. 実験地点での予想外の高濃度汚染,
  2. 種々の汚染物質の共存,
  3. 粒子状物質やタール状物質の影響,
などが考えられる。
現地実験では機器類のトラブルも多く,未だ十分なデータが得られていない。この夏を含めて,更にデータを蓄積し,解析を進める計画である。

8.トンネル排気浄化
 道路用地難などから都市部では自動車用トンネルや地下道路が増加しているが,そこからの排気は一種の低濃度発生源とみなされ,周辺環境への負荷が懸念されている。
 このため,建設省を中心に環境装置製造各社が参加して,トンネル排気浄化を目指した低濃度脱硝技術が検討されてきた。しかし,基本となる技術は既存の排煙脱硝法(アンモニア選択接触還元法など)であるため,NOxの濃縮と加熱脱着操作を伴うものが大半である。 このため,エネルギー消費量が膨大となり,設備費,運転費ともに巨額に上るものと試算されている(処理空気量150万m3/hの場合,設備費と20年間の運転費で97〜121億円)。技術的に可能であれば推進すべきという立場もあるが,エネルギー消費量が大きいことは地球環境保全の立場と相反する。更に,設備が巨大なために設置場所が限られるという制約もある。

 そこで光触媒法であるが,2〜5 ppmというトンネル排気中のNOx濃度は光触媒法で直接処理できるため(図4),われわれも応用を検討してきた。この場合は太陽光ではなくて,紫外線ランプを用いた反応装置の形態をとる。 トンネル排気は流速が最大10m/sと大きいため,現在のところ除去率は不十分であるが,共同研究先と協力して,空気と触媒の接触効率を高めるなどの改良を行っており,あと数倍効率を高めると実用化への検討が可能となる段階まできている。 光触媒法の場合,ランプによる電力消費はあるものの,除去操作や設備の構成が単純であり,上記方法と比べて,設備費,運転費,設置スペースともに,大幅な低減が期待されている。
9.今後の展望
 光触媒反応を原理とする大気環境浄化材料によって,省エネルギー的・省力的な都市大気環境の改善が可能であることが示された。本光触媒は無害・安全かつ安価で,環境中で広い面積を利用して浄化を行うのに適している。 6項で述べた種々の材料との複合化に加えて,粉末からではなく直接平面状の光触媒をつくるために,スパッタリング法,ゾルゲル法などを検討している。また,人工光による除去装置もトンネル排気浄化に限らず,地下駐車場や室内空間の清浄化に応用できよう。

 本浄化材料は維持費用がほとんどかからないという特徴があるが,初期費用だけであっても環境浄化のための費用をだれが負担すべきかという問題は残る。幸いにも環境に対するわれわれの意識は10年前と比べて大きく変化しており,性能のよいものを開発すれば必ず受け入れられると考えているが,行政によるインセンティブ付与も必要であろう。

 研究室を出て浄化材料の現地評価試験を行うようになって,深刻な大気汚染の現実を身をもって感じた。現場で数時間作業するだけで,のどはかれ,衣服はべとつき,機器類は粉じんでざらざらになる。やはり発生源側の更なる対策強化が不可欠である。 単に自動車エンジンの改良だけではなく,産業の発展を最優先にしてきた交通・運輸システム全体を見直す時期にきているように思う。発生源対策が進んでも,本浄化技術はこれを補い,大気を更にきれいにできるのである。

温暖化物質循環制御部 光利用研究室 竹内浩士



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